第10章 衝動【カラ松、チョロ松】
【チョロ松side】
「もしかして、MINEで伝えるつもり?」
カラ松がスマホを操作しているのを眺めながら、僕は問う。
「ああ。電話はさすがに迷惑だろうからな。…えーっと、なぁチョロ松、MINEってどれだ?アイコンが見当たらないんだが」
「ちょ、どんだけ機械音痴なのさ。こうやってスライドして画面切り替えて」
「おぉーっ」
…いやいや、いくら自分のを持ってないからって、今時の若者がスマホ一つ操作できないってどうよ。
まぁ僕もたまにトド松のをいじらせてもらってたから知ってるってだけだけどさ。
っていうか、スマホ持つ手がガクガクに震えてるんだけど。どこの初心者だよ。なんか汗すっごいし。
「もう、貸して。僕がやるよ。カラ松は周辺の警戒してて」
見ていられなくなり、僕はカラ松からスマホをひったくる。
…え、そんな世界の終末みたいな顔するなよ…ショック受けすぎでしょ…
面倒なので、項垂れるカラ松を無視して、僕はMINEを開く。
なんて書こうか。あまりストレートなのもせっかくの楽しい時間に水を差しちゃうだろうし、遠回しすぎるのも意味が伝わりにくいだろうし…
そもそも、彼女にとって事情を知ってるのはおそ松兄さんとトド松だけなんだよな。じゃあトド松のフリをしてならある程度ストレートでも違和感はないか。
『絵菜ちゃん。今どこにいるか分からないけれど、身の回りには十分気を付けてね。もし何かあったら、MINEでも電話でもなんでもいいから知らせて。すぐ助けに行くから。 トド松』
…うーん、ちょっと重いかな?
「ち、チョロ松、もう書いたのか?」
「ああ、うん。でもなんか難しいなって。これどう?変かな?」
画面をカラ松に見せると、カラ松はうーんと唸る。
しかし、
「いいんじゃないか?トッティだし」
「…そっか。トッティだからいいか」
僕たちの末弟の扱いは相変わらずのようだ。
送信して間もなく、彼女からの返事がきた。
『ありがとう!気を抜きすぎないようにするね!』
…うん、やっぱりいい子だなぁ、絵菜ちゃん。
とりあえず今のところは無事…ってことでいいかな。もちろん何もないことを祈るばかりだけれど…
僕たちは安堵しつつ、再び歩き出した。