第10章 衝動【カラ松、チョロ松】
しかし10分後―
「み、見失った…!」
「僕たち、偵察って向いてないね…」
おかしいな、確かにこの道を左に曲がったはず…くっ、休日のためか人が多いせいで見分けがつかない!
「一旦諦めようよ、カラ松。大体僕たちの目的は尾行じゃないだろ?怪しげな男を見つけただけでもよしとしなきゃ」
「…ああ」
チョロ松の言う通りだ。しかし不安は尽きない。なんせ彼女は今は外出中、いくら友人と一緒にいるとはいえやはり手放しに安心はできない。もしあの男が例の男だとして、彼女と鉢合わせでもしたら…
せめて彼女に用心するよう連絡ができればいいんだが…そうだ!
「チョロ松、一度家に帰るぞ」
「は?まだ全部回ってないよ?」
「いいから」
***
俺は不思議がるチョロ松を引っ張るようにして、足早に自宅へと戻ってきた。
すぐ部屋に向かい襖を開ける。
「トド松、いるか?」
「うん?なに、どうしたのカラ松兄さん。チョロ松兄さんまで」
部屋にいたのはトド松ただ一人。よかった、いなかったらどうしようかと思った。
「散歩もう終わったの?随分早くない?」
「そんなことよりトド松、スマホを貸してくれないか?」
「へ?」
「1日だけでいいんだ。頼む」
最初は戸惑っていたトド松だったが、俺が真剣なのを悟ったのだろう。いじっていたスマホをそのまま渡してくれた。
「はい。大事に扱ってよ」
「すまない、ありがとう」
「…絵菜ちゃんに、何かあったの?」
さすがに勘づかれるか。だがあまり悠長に話をしている場合ではない。
「そうじゃないが、詳しいことは帰ってから話をさせてくれ。行くぞ、チョロ松」
「え?ああ、うん…」
何か言いたげなトド松の視線を背に感じながら、俺たちは見回りを再開すべく家を出た。