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【イケメン戦国】私と猫と

第26章 桜の咲く頃  三幕(九歳)


襖を引いて中に入るのは、謙信だ

「謙信さま?」

家康は小さく謙信を睨む

「もう童って年じゃないでしょ…教えてもいい頃だ」

それは大人だった湖についてだ
彼女が何処で暮らしていたか
自分たち安土の彼らとの関係を

そう言いたいのだと、ただ一人
当人を除く全員が察する

「それは、こちらで判断しまする。今、湖様を預かっているのは我らです」

兼続が家康の言葉に応えた

「まあまあ、教えるにしても…そうだな、裳着後で良いだろう?」
「信玄…」
「やるだろ?15あたりで、せっかくだしな」

謙信の渋い顔など関係無しに信玄がそう言えば…
幸村が「ん?」と何か気がかりそうに

「別に…こいつは、結婚云々無いんだからいいんじゃ…」
「幸、形式だ。ただのな。だがな、せっかくなら我が子の着飾った姿を見たいと思っても良いだろう?」
「…ばかばかしい」
「それを期に、湖には話して聞かせても良いだろう?最終的には記憶を戻すと土地神も言っていたしな」

「もぎ…ってなぁに?」

黙っていた湖が首を傾げた時だ


額が暖かくなった
まるで、登竜桜に触れられたときのように

それは、その場にいた佐助も同様で

何の知らせもないのに、二人は顔を見合わせた
その同時の動きに、謙信達は何事かと二人を見る

そして…襖の方へと顔を向けた湖

ずきんと足に走る痛み

だが

足の痛みなんて関係ない
間違いは無かった

(この感じ…)

ざっと立ち上がった湖が、襖を開ける

「湖?」

幸村がその様子に驚くが、庭先に現われたそれに声を掛け止めた






しゅるりと、絹音がすれば
まさに今、現われた女の姿
指先にツグミを止まらせ、そのツグミに何か言っている

白髪の髪が光に照らされ透けて見える
細める眼は黄金にも見えた
白地の着物をゆるりと着こなし

ツグミが指先から飛び立てば、その顔をこちらに向けて言うのだ


「どうした?」


たった数日
なのに、ずっと会っていなかったように長く感じた

「かかさま…」
「?」
「かかさまっ…っ!!」

泣き出しそうな顔をして自分を見る湖に、白粉が近づきその頬に手を当てた

「湖…?どうした?」
「……おかえりなさい…おかえり、かかさま…」
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