第126章 相手の心を開きたいなら、まずは自分の心を開け。
なおも葵咲が躊躇っていると、土方が静かに口を開いた。
土方「…俺は…妾の子だ。」
葵咲「!」
土方「俺の親父は…田舎じゃちょいと知れた豪農だったが、大層な遊び人でもあった。好き勝手やってた時に出来た妾の子、それが俺だ。」
土方は己の身の上を語る。葵咲の事を訊きたいなら自分の事から。相手の心を開きたいなら、まずは自分から先に開かなければ。己の過去を語らず、葵咲(相手)の事を聴くだけ、というのは…フェアじゃない。そう思ったのである。
地面を見ながら話していた土方だったが、顔を上げて葵咲を見据える。
土方「俺にはそんな男の血が流れてる。…良いのか?そんな俺でも。」
語尾は少し力弱かった。土方自身、少し自信がない、そんな様子が伺えた。
その問いに対し、葵咲は・・・・。
葵咲「えっ。いや…それは流石に……ちょっと・・・・。」
土方「!?」
(土方:ええええぇぇぇぇぇ!?なんか俺が思ってた反応と違うんだけどォォォォォ!!なに、葵咲って家柄・スペック重視だったの!?なんかショック!!)
少し後退りする葵咲は苦笑いでドン引き状態。密かにショックを受けている土方から、葵咲は視線を逸らしながら言う。
葵咲「そんな堂々と遊び人アピールされても…。浮気を容認しろとか…私にはちょっと、無理かな・・・・。」
土方「話が全然違う方向に行ってる!?違うゥゥゥゥゥ!俺が言いたいのはそこじゃねぇ!!」
葵咲「オープンマリッジ宣言するなら数ヶ月で離婚です。」
土方「まだ結婚もしてないのに!?何処のYouTuberだよ!ちげーよ!!」
誤解を与えた意図せぬ伝わり方に、内心土方は“日本語って難しい。”などと思う。
いや、そんな事を言っている場合ではない。早く訂正しなければ取り返しの付かない方に向かってしまう。土方は言葉を変えて言い直した。
土方「そうじゃなくてだな!お前はその…市村家っつー名門だろ。」
葵咲「!」
土方「エリートのお前とじゃあ俺は・・・・。」
釣り合わない。育ちが良くない。そんな土方(自分)に引け目を感じていた。その事が分かった葵咲は慌てて首を横に振る。