第126章 相手の心を開きたいなら、まずは自分の心を開け。
適切な処置が終わり、土方は再び葵咲へと目を向ける。
土方「とりあえずは、これで大丈夫だろ。どうする?しんどいなら屯所に戻るか?」
それは葵咲を気遣ってのこと。足の具合もそうだが、乾かしたとは言え冬の寒い中、水を被った。身体が冷えて体調を崩していないか心配してくれているのだ。
それに対して葵咲はおずおずと言う。
葵咲「えっ!いや…。もし土方さんが良いなら、折角だしカウントダウンライブ、観たい…かな。」
土方「じゃあ行くか。」
本人がそう言うなら問題ないだろう。無理をしているという様子でもない。頷く土方だったが、ふと何かを思い立ったように立ち上がる。
土方「…あ。ちょっと待ってろ。」
葵咲「?」
そう言って土方は医務室から出て行く。医務室に一人取り残される葵咲。言われたとおり、ベッドに腰掛けたまま土方を待つ。
数分の後、土方は手に何かを持って戻ってきた。
土方「こんなもんしかなかったが、ないよりマシだろ。」
葵咲「!」
手渡されたのは、大江戸遊園地キャラクターの猫デザイン、フード付きブランケット。ふわふわのもこもこで手触り抜群。かなり暖かい。ボタンが付いている為、肩に引っ掛ける事も出来る。受け取った葵咲はブランケットと土方、交互に見やりながら呟く。
葵咲「…猫耳フード付もこもこブランケット…。土方さんが買ってきたの?どんな顔してレジに…。」
土方「うるっせーな!いちいちオメーは一言多いんだよ!」
プンスカ怒る土方の顔は真っ赤だ。その時の情景を思い出したのだろう。相当恥ずかしかったらしい。
そんな思いをしてまで買ってきてくれたブランケット。濡れた身体を拭いて乾かしたとは言え、夜は冷える。葵咲の身体を思ってのことだ。それに買った物にも配慮が見える。パークグッズのマフラーやポンチョの類であればパーク内でしか使えない。普段使いも出来るブランケットを選んだのは土方の気遣いだ。それが見て取れた。葵咲は優しい笑顔を土方へと向ける。
葵咲「ありがとう。」
土方「っ。」
土方は照れ臭そうに頬をかいた。