第123章 ダブルデートの目的は自分の恋を成就させる事
そうして思い出すのは、第百二十二訓後のお話。
船の復旧待ちの為に、客室へと案内された時の事だ。客室への道すがら、土方は自分の中に浮かんだ疑問を口にした。
土方「お前、“そういう知識”、あったんだな。」
土方と葵咲は、曲がりなりにも上司と部下。色恋話をしないのは当然と言えば当然かもしれないが、二人の間でそういった男女の情事の話が出てきた事は無いに等しい。土方の中で、葵咲はそういった事は知らない無垢な生娘扱いになっていた。
それに対して葵咲は素直に答える。
葵咲「えっ!?…そりゃ、まぁ…それなりに歳は重ねておりますので。」
葵咲は土方の一つ年下。まぁ年齢的にも当然と言えば当然か。
土方「そういう話題いっつもスルーしてっから知らねぇのかと思ってたわ。」
葵咲「スルー?話題振られた事あったっけ?そういう話って恋人同士でするものじゃないの?」
土方「・・・・・。」
天然で気付いてなかったクチらしい。葵咲が無防備な理由が分かった。
土方「いや、まぁ…。つーか、そういう事自体が嫌いなのかとも思ってたっつーか…。」
下ネタが嫌いな女性は一定数いる。行為自体が苦手という女性も少なくないだろう。手錠で二人が繋がれてしまった時にはトイレに行く事すらも嫌悪感がある様子だった為、葵咲はその人種なのだと思っていた。(雪月花 第50訓 手錠編参照。)それに関しても葵咲は素直に答える。
葵咲「そりゃ勿論、誰でも良いってわけじゃないよ。そういう話とか行為自体が好きってわけでもないし、そんなに経験もないし。でも…好きな人とは…その・・・・、したい…です…。」
土方「! ・・・・・っ。」
土方(じぶん)から話を振っておいてなんだが、改めて言われると照れ臭いものがある。葵咲がそういう話をするのは、恋愛関係の間柄にある人間だけ。それを聞いた土方は安心して内心嬉しく思う。
そんな会話をし、二人はクルーズ船に泊まったのだった。