My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「明日…っていうか日付はもう今日だけど。コムイ室長に休み貰えたら、ケークサレ作り直すから」
「だから充分だっつっただろ」
「だって…蝋燭…」
どんだけ立てたいんだよ。
あの無残に崩れたケーキは、列車の中で全部平らげた。
味は不味くなかった。
また食ってもいいと思えた。
それでもう充分だろ。
そうは思うものの、雪はまだ不満らしい。
…そういや、そういうもんに憧れたって言ってたな。
ガキっぽい思考だが…貧困暮らしをしてたんなら、そういう経験もなかったんだろう。
憧れても不思議じゃないのかもしれない。
…その気持ちは、なんとなくわかる。
"ユウ、知ってた? フユって奴が外にはいて、世界をさぶくしてるんだって!"
"誰だよそいつ、迷惑なヤローだな"
暗い地の底で生まれた俺もアルマも、"外"のことは何も知らなかったから。
見たことも聞いたこともない出来事は、純粋に興味が湧いた。
"でもね、ユキってものを作り出せるんだよっ"
"ユキ? なんだそれ、食いもんか"
"えっとぉ…キラキラしてて、すぐ消えちゃうものなんだって。エドガー博士が教えてくれたんだ"
"ふーん…すぐ消えんのに作り出す意味あんのか。フユってのは変な奴だな"
"だねー。でも…見てみたいなぁ"
空や太陽、海や砂漠、冬に雪。
知らないもんには興味が湧いて、アルマとよく語り合った。
"いつか見てみたいなぁ…ユウと一緒に"
そう、まるで思いを馳せるように地下の分厚い天井を見上げて、アルマはよく呟いていた。
知らないものに憧れて、手を伸ばそうとしていた。
それと雪の憧れは、似たようなもんだ。
ティエドール元帥に連れられた花畑でも楽しそうにしてたし、世界遺産の遺跡から見る景色にも目を奪われていた。
そういう情感的なもんを雪は持ってる。
…"あの人"だけを望んだ俺が、昔に置いてきたもの。