My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「とにかくAKUMAは退治したが、イノセンスは見当たらねぇみたいだし。空振りだな」
濡れた前髪を鬱陶しそうに掻き上げながら、辺りを見渡すユウの言う通り。
不可解な雲…じゃなくてAKUMAの体が破壊されて消えた今、はっきりと見える吊り橋は極々普通の吊り橋だった。
どこも可笑しなところは見当たらない。
…今回の怪奇現象は全部、AKUMAの仕業だったんだ…。
「……」
…というか。
そのAKUMAの所為で……プレゼントは全部駄目になってしまった。
「はぁ…」
思わず持っているズタズタの荷物を見下ろして、大きく項垂れる。
「…まだ落ち込んでんのかよ。ただの荷物だろ、代えは利く」
「……」
…利かないよ。
ケークサレは戻って作り直せるにしても、髪紐は同じものが見つかるかどうか──
「…?」
秘密にしてることだから言い返せなくて、項垂れたままでいると…視界に"色"が映り込んだ。
顔を上げる。
見えたのは、茜色に染まっている空に別の色が降り注いでいる景色。
「…あ」
思わず声が漏れる。
見えたのは、薄らとかかる淡い光の屈折。
虹だった。
「うわあ…近い」
思わず感銘的に呟いてしまう。
急な雨で出現したんだろう、それはこの標高の高い場所では凄く近くにあって、身を乗り出したら触れられそうな程だった。
実際は触れられないんだけど。
それでも気付いたら子供のように、手はそこに向かって伸びていた。
止めたのは強い力。
「え?」
思わず隣を見上げれば、私の手首を掴むユウの姿。
その顔がはっとしたかと思えば、すぐにぱっと手は離された。
え、何。
「ユウ?」
「…なんでもない」
外される視線。
素っ気無い返事に、多分その行動の意味は話してくれなさそうな気がした。
また橋から落ちそうに見えたのかな…?
身は乗り出してなかったはずだけど。