My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「荷物なんざ優先させんな!」
苛立ち混じりにフードから手を離したかと思えば、手首を掴んで無理矢理ロープを掴まされる。
「だって…っ」
「だってもクソもねぇ! 次落ちそうになったら殴るぞ!!」
「り、了解!」
うわすんごい怒ってる!
有無言わさないユウの剣幕に、咄嗟にぶんぶんと勢いよく頷いて受け入れる。
すると鬼のような形相が、少しだけ落ち着いた。
「そ、それよりAKUMAは…」
「…霧が戻らねぇところ、破壊できたんだろ」
…そういえば。
辺りを見渡す。
あんなに一寸先まで包んでいた濃い霧状の雲は、もう何処にもない。
どうやら六幻の爆魄斬でAKUMAは爆破されたらしい。
「それよりお前、なんださっきの」
「え?」
さっきの?
「さっきのって?」
「しらばっくれんなよ。AKUMAの動きを止めたさっきの攻撃だ」
「……ええ、と…」
そういえば…さっきのあれは、なんだったんだろう。
まるで光る電流のようなものがAKUMAの体を襲っていたけど…私の思いに反応するように。
…当の私はAKUMAへの怒りでいっぱいだったから、光の原因なんて考えもしなかった。
──ポツ…
「…あ」
その時、目元に落ちてくる微かな水滴を感じた。
顔を上げれば、ポツポツとそれはあっという間に数を増やしていく。
見上げたすぐ先の空に広がっているのは、薄い雨雲。
どうやら今度は本物の雲らしい。
「…これが原因かな?」
高い山の上だからかな、空も雨雲も近い。
薄い雲だけど、近くにいたAKUMAはその雨雲の中の雷にでも、感電してしまったのかもしれない。
サァァ…
柔らかい優しい雨が、私とユウを濡らしていく。
苦笑混じりに空を指差して言えば、ユウは僅かに眉間に皺を寄せた顔で雨雲を見上げたまま、それ以上何も言わなかった。