My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
ギリギリと六幻の刃が固い何かに競り止められる。
そこに見えたのは、鋭く大きな刃物が三つ。
全てその霧状の物体から突き出していた。
「なんだそのふざけた姿は」
ゆらゆらと霧状の靄を揺らしながら、一箇所に集まって不可思議な物体を作り出している。
体の線ははっきりしていない。
まるでガスか何かの塊のように、そいつは宙に浮かんでいた。
…間違いないな。
こいつはAKUMAだ。
「エク…エクソシスト…だ…初めて見たァ」
「っ!?」
問いには答えず、くすくすと笑った口元が大きく裂ける。
ギリギリと競り合っていた大きな三つの刃が、一気に薄れた。
薄れるというより物体が透けて、向こう側の景色を映し出す。
途端に、まるでそこにあるものが消えたかのように固い感触がなくなる。
競り合っていた勢いのまま、振り切った六幻の刃が目の前の吊り橋の板に突き刺さった。
斬ったのは吊り橋の板だけ。
透けたAKUMAの刃は傷一つ付いていない。
こいつ…霧状の体を変化させて、刃を作り出していたのか。
「血ィ…血ィ吸わせろ…エクソシストの血ィ…」
くすくすと笑う声が木霊して響く。
同時に、周りに漂っていた白い霧が一気に晴れていく。
…いや違う。
一つに集束しているようだった。
恐らくこの橋を覆っていた雲のように見えていた白い霧は全て、このAKUMAの体そのものだったんだろう。
…ということは、
「ハズレか」
今回の任務はイノセンス回収じゃなく、AKUMA退治になりそうだ。
「ハズレ…ハズレ…?」
「テメェみてぇな陳腐なAKUMAを相手にしなきゃなんねぇことが、ハズレだって言ってんだよ」
頭の悪いガキみたいに、同じ単語を繰り返すばかりの裂けた口に向かって吐き捨てる。
辺りの霧が晴れて、視界がクリアに変わる。
見えた景色は、変わらぬ山間。
はっきりと見えた吊り橋の先は、そう長くはなく向こう岸にかけられていた。
どうやら雪の予測通り、俺達はこいつの霧状の体に惑わされて彷徨っていたらしい。
霧の中ではそう感じなかったが、結構な時間が立っていたのか。靄が消えて見えた空は、赤い夕日に染まっていた。