My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
声はすぐ目の前からした。
咄嗟に布袋から六幻を取り出す。
その柄に手をかけて、いつでも抜ける体制で構えて睨み付けた先。
──くすくす…
微かな笑い声を漏らしながら、"そいつ"は真っ白な霧の中から姿を現した。
「……は…?」
思わず声が漏れた。
其処にいたのは小柄な子供が一人。
見知った黒髪に、見知った鼻の頭の傷跡。
最後に俺が斬り捨てた時と同じ恰好で、白い霧の中から現れた。
──…ユウ
嬉しそうに笑って俺の名前を口にする。
そいつは俺の記憶が知る限り、一人しかいない。
「………アル──」
俺のたった一人の…
「っ!」
瞬間、背後に近付く気配に振り返った。
いつの間に現れたのか、すぐ後ろに立っていたその人物に言葉を失う。
口元に緩い笑みを浮かべて、その場に静かに佇んでいる。
朧気な記憶が微かに残っているだけの人なのに、はっきりとその人は其処に立っていた。
──……ずっと…待ってた…
優しい笑みを浮かべて、発した声は俺の記憶の中にあるものと同じ。
「ッ…」
言葉が出てこない。
どうして…此処に"あの人"が。
──いや違う。
すぐに脳内が否定する。
これは違う。
明確な理由がなくてもわかる。
ずっと焦がれてきたもんだからこそ。
「チッ…悪趣味なもん見せやがって」
胸糞悪さに吐き捨てる。
そもそもアルマとあの人が一緒にいる時点で、矛盾が生じる。
アルマは俺がこの手で壊したんだ。
こんな所で一緒にいるはずが──
「……?」
はっとする。
その違和感はすぐにわかった。
「…雪?」
あいつの姿が、見当たらない。