My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「ラビとチャオジーと言った、あの中国の任務で。…イノセンスの影響なのか、廃墟から急に出られなくなって…」
「…これも同じだって言いたいのか」
「現象は似てる気がする…あの時も、階段を下りても下りてもずっと同じ場所をぐるぐるしてて…その場にとどまったままだったから」
思い出しでもしたのか、ぶるっと体を震わせて団服を掴むその手に力が入る。
中国での任務内容は聞いてないが、そんなことがあったのか。
…どうせあの馬鹿兎と一緒に慌てふためいてたんだろう。
なんとなく予想がつく。
「パニックになって道間違えただけじゃねぇの」
「違うよっ、ちゃんと階段下りてたから! ダッシュで!」
「どうせ馬鹿兎と半ベソかいて逃げてたんだろ」
「ぅ」
図星か。
「はぁ…」
「半ベソはかいてないから…!」
思わず呆れて溜息をつけば、慌てて言い訳を付け足してくる。
それでも逃げたんだろ。
イノセンスの可能性がある現象から。
お前らそれでも教団の人間か、ビビってないで仕事しろ。
──くす…
「「──!」」
それは微かな"声"のようなものだった。
同時に二人して言葉を止めて顔を上げる。
その緊張した気配からして、どうやら雪にも聞こえたらしい。
「今…声、みたいなの…聞こえた?」
「しっ。静かにしろ」
辺りの気配を伺う。
人の気配らしいものは何もしない。
だが確かに──
──くす…くす…
「!」
確かに聞こえた、微かな笑い声のようなもの。
背中にある雪の気配が強張るのを感じながら、六幻の入った布袋に手をかける。
イノセンスか、ただの怪奇現象か。
どっちだ。
──くすくす…
"声"が近付く。
近付くにつれて、はっきりと聞こえてくる。
まるで子供のような声。
弾んだように笑う声は楽しそうに──
「…?」
この声…聞き覚えがある…?