My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
「なんにも見えないね…というか、暗い」
後ろからついて歩く雪の、ぼそぼそとか細い声が届く。
雲の中は太陽光も遮断するのか、薄暗い。
ひんやりと低い温度が肌を冷やす。
「やっぱり橋から落ちたんじゃねぇのか、これ」
これだけ濃い霧状態なら、誤って踏み外しても可笑しくない。
下は深い谷底だった、死体は見つかる前に獣にでも食われたんじゃねぇのか。
「そうだとしても…この雲はどう説明するの?」
「……」
…確かに。
行方不明が単なる事故だとしても、いつまでも晴れないこの雲は単なる偶然とは思えない。
……イノセンスが関係してる可能性は高いか。
ギシ…
吊り橋が揺れる。不安定な軋んだ音を立てて。
その度に、後ろでキョロキョロと辺りを伺う雪の気配が届いた。
…やっぱりビビってやがるな。
「あんまりビクビクすんな。ただ橋を渡ってるだけだろ」
「そうだけど…ここまで視界が悪いと、不安にもなるから」
「お前のはただ情報にあった怪奇現象にビビってるだけだろ」
「……」
言い返さないところ図星か。
「私だって怯えたくてしてる訳じゃないから。…これは不可抗力です」
「お前そんなんで、よく今まで任務遂行してこられたな」
イノセンス関連の任務は、ほとんど怪奇現象事だ。
こんなにビビリなのに、よく任務達成してこれたもんだ。
「それは……ユウがいたからでしょ」
「あ?」
背後から届いた思い掛けない言葉に、つい振り返る。
辺りは真っ白で視界は悪いが、傍にくっつく雪の顔は辛うじて見えた。
「ユウって全然そういうもの怖がらないから。一緒にいたら……安心、できてたし…」
気恥ずかしそうに言うその言葉は、前にも確か聞いたことがある。
だけどこんなふうに、"安心できた"という言葉を吐いてはいなかった。
…そんな雪を見ていると、何故かむず痒い思いを感じた。
よくはわからない。
ただなんとなく、むず痒い。