My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
✣
「此処で合ってんのか」
「うん。情報によると、何故かいつも雲がかかってて、此処で行方不明になる人が続出してるらしいんだって」
「ただ橋から落ちただけじゃねぇのか」
「でも死体は出てきてないし…この雲の中から声を聞いた人がいるとか…」
「…いつもそんな怪奇現象ばっかだな」
遺跡の観光地から離れれば、途端に人影はなくなった。
辿り着いたのは高い山並みに吊るされた吊り橋。
其処にかかっている霧のような雲は白く、吊り橋の先をすっかり覆い隠していた。
馬鹿兎と一緒のベルリン任務でも似たような現象なかったか。
本当、いつもそんなんばっかだな。
馬鹿の一つ覚えみたいに。
「だよね…ほんと、やめてほしい…」
思わず呆れ混じりに溜息をつけば、賛同してきた雪は俺とは真逆に顔を青くしていた。
ああ、こいつビビリだからな。
「とにかく渡ってみないことには何もわかんねぇだろ。行くぞ」
「あっ! ま、待って」
ギシ…ッ
吊り橋に踏み出せば、慌てて後を追ってきた雪の足で僅かに揺れる。
「わ…っ」
その揺れにさえもビビったのか、後ろにいた雪の手が俺の団服を掴んだ。
「引っ張んな。邪魔だ」
「ぅ…でも、雲で視界遮られるし…逸れたら困るでしょ」
「逸れる訳ねぇだろ、道は一本しかねぇのに」
誤って橋から落ちりゃ、話は別だけどな。
「……」
そんなことをふと考えて、起こり得ることだと思うと否定できなくなった。
「チッ」
…仕方ねぇ。
「…なら離すなよ。ちゃんとついて来い」
「え?…あっ」
歩く速度は変えずに進む。
後ろから小走りに追いかけてくる気配を感じつつ、辺りに気を配った。
雲はすぐ目の前に広がって、視界を悪くさせる。
霧状のそれに包まれると辛うじて足場が見えるくらいで、一寸先は白。
ギシ…ギシ…
吊り橋が微かに揺れる音だけが響く。
気配は俺の後ろにくっついている雪のものだけ。
他には何も聞こえないし、何も感じない。