My important place【D.Gray-man】
第37章 6/6Birthday(番外編)
✣
「…最近、」
「え?」
「夕刻になると、何してんだお前」
私から逸らした視線が、列車の窓の外に向く。
それでも的確に突いてきた問いに、思わず心臓が跳ねた。
え、何急に。
なんでそこ突いてくるの。
「夕飯、何処で食べてんだ。食堂で見かけねぇけど」
「ぁ…うん…ちょっと書類整理が立て込んでて、自室で食べながら仕事してたから…」
咄嗟に思いついたことを口にする。
…本当は厨房でジェリーさんに教わりながらケークサレの練習をしてたんだけど。
その味見ばかりしてたらお腹も膨れて、最近はずっとそれが私の夕飯代わりみたいなものだった。
甘くないから、あれケーキじゃなくご飯だし。
ちゃんと焼けたら美味しいんだよね、結構。
「そんなに仕事抱えてるようには見えなかったけどな」
「急なものが多かったから」
笑って言えば、ユウの眉間に僅かに皺が寄る。
納得してないように見えたけど、それ以上は突っ込まれなかった。
まぁ、もう厨房を借りることもなくなるし。
そう疑われることもなくなるだろうから、いいんだけど…。
「……」
再びできる沈黙。
ユウとの距離が縮まってから、沈黙が嫌だなんて思うことはなくなったのに…この沈黙は、少し……
居心地、悪いかも。
「…すご…」
なんとかその沈黙に耐えること数時間。
辿り着いた先は、世界的に有名な世界遺産の遺跡がある場所。
天空都市マチュピチュ。
インカ帝国の遺跡があるその古代都市は、標高が高い山の傾斜に造られたものだから。霧のような雲がかかる山々が悠然と広がる景色は、まさに圧巻の一言。
目を奪われるって、こういう景色のことを言うんだろうなぁ。
思わずほーっと息をついてしまう。
「何ボーっとしてんだ。観光に来た訳じゃねぇんだぞ」
「ぁたっ」
後ろから六幻の入った布袋で、ゴツッと頭部を軽く押される。
相変わらずというか…もうそれがユウのコミュニケーションだと思ってる(じゃなかった、思い聞かせてる)から甘んじて受け入れるけど。
振り返れば、その目は周りの景色なんて見ていない。
…本当、何処にいてもブレないよね。
景色を愛でるってこと、しないんだろうなぁ。