My important place【D.Gray-man】
第23章 2/14Valentine
このサラダもソースの味が濃過ぎるなぁ。
ジャケットポテトはトッピングは美味しそうだったのに味が喧嘩していてちぐはぐだったし。
色々と少し変えたら美味しくなれそうな感じ。勿体ない。
「ジジが鼠みたいに食う奴だって言ってただろ」
「鼠って」
ハムスターね。
それも鼠の一種だけど。
「そうやって食う奴にしては、お前ひょろ過ぎんだろ」
「そうかな」
それなりに鍛えてはいるんだけどね…というか。
料理に向けていた視線を、そろりと上げる。
最後に見た時と変わらず、頬杖ついたまま神田の目は真っ直ぐ私に向けられていた。
なんだろう…この違和感。
こんなふうに私のことを色々聞かれることなんて、今までなかった気がする。
それに今までなら、そういうことを他人に聞かれたら当たり障りなく応えてスルーしてきたけど…自分の生い立ちなんて胸を張って語れるものじゃないし。
でも神田相手だと、不思議と聞かれて嫌な気はしなかった。
寧ろそれだけ私に関心を持ってくれているのかなと思うと…嬉しい、のかも。
「…茎以外にも色々食糧にできるんだよ。どんぐりとか菜の花とか、茸なんかも探して食べたことある」
「野生児かよ」
なんとなく自分からも語ってみる。
そんなことしたことなかったから内心勇気を絞り出したけど、秒で突っ込んでくる神田に思わず笑ってしまった。
「私のうち、ご飯があまり沢山食べられなかったから。自分で食料調達みたいな、そんな感じかな」
包み隠さず全部は簡単に吐露できないけど、神田は周りに言いふらすような人じゃない。
だから不思議と言葉は口から出てきたのかな。
「ふぅん」と小さな声で相槌を打つ神田は何か思うような顔をしていたけど、それ以上問いかけてくることはなかった。
沈黙ができる。
でも空気は決して悪くない。
過去を深追いされない距離は居心地も悪くない。
こんなふうに神田と一緒にいて楽に思えるようになるなんて、去年のバレンタインは想像もしなかった。
「…ゆっくり食えよ。時間はある」
「え? うん」
続く神田の声は、どことなく優しい響きを持っていた。
待たせてるから急いで食べなきゃ、と会話中もフォークはずっと進めてたけど。
その言葉に急いで咀嚼していた口の力を緩める。