My important place【D.Gray-man】
第21章 地獄のティータイム
「さっきまで機械整備してたので、オイルの臭いが染み付いてるのかも…」
「君も風呂に入れ、即刻!」
「す、すみませんっ」
「はいはい、わかりましたから。雪は科学班とは関係ないでしょう、責めないでやって下さい」
フォローするつもりが逆に駄目出しされて、圧される私を庇ってくれたのはリーバーさんだった。
助けるつもりが、逆に助けられてしまうなんて。うう、余計な手間をかけさせてしまった気がする。
「ほら、書類サインしたから。これでいいか?」
「あ、はい。ありがとうございます」
逃げ道を与えるつもりで、リーバーさんも書類をくれたんだろうけど。
「もう一度、コーヒーお願いできますか。できれば僕のデスクで」
「えっと…は、はい」
リナリーの肩に手を置いて、にこにことデスクに誘うペックさん。
「だから色目使うなって言ってるでしょう…!」
それを見て頭を抱えるリーバーさん。
こんな場面を見てしまったら、見て見ぬフリなんてできない。
リーバーさんも基本、リナリーにとって面倒見の良いお兄さんみたいなポジションだからな…無視なんて到底できないだろうし。ただでさえ忙しい職場に拍車をかけてる気がする。
「リナリー、ちょっと」
「え?」
軽く団服の裾を引っ張ってリナリーを呼ぶ。
その手に持っていたポットを取ると、代わりに持ってきていた書類の一枚を手渡した。
コピー用の書類だから、それは実際失くしても困らないものだ。
「これ、頼まれてた書類。後は室長の所に持っていくだけだから」
「え? 書類?…兄さんに?」
勿論室長に提出する書類なんかじゃないし、そんな頼み事もリナリーと交したりしていない。
きょとんとするリナリーに、顔を寄せてこそっと声をかける。
「コムイ室長、リナリーに会いたいって嘆いてたよ」
リナリーにだけ聞こえるように。
室長の仕事を抜け出す手伝いはできないけど、あんなに会いたがってたんだし。
仕事の合間にリナリーの顔を見るくらいの、手助けならしてあげたいと思ったから。