My important place【D.Gray-man】
第21章 地獄のティータイム
「リーバー班長」
「はい?」
「私の部下が、君の班から悪臭がすると言っている。君の班員は風呂に入らないのか?」
「おーい。僕の声聞こえてる?」
ペックさんの静かな主張は右から左。バロウズさんの目がこちらに向いたかと思えば、早口に淡々とリーバーさんを責め始めた。
うわ…バロウズさんもペックさんとは違う意味で、嫌味が滲み出てる人だな…。
「即刻、彼らに防臭剤をかけるなりしてもらわないと。我々は仕事ができない」
「そんなに臭いですか?」
「わからないのか? はっ! 本部科学班がこんなに非常識とは思わなかった。これから共同生活を送るのだからね。最低限のマナーは守って頂きたい」
……うわあ…。
確かに科学班は仕事で徹夜することも多くて、お風呂に中々入れない時もある。
でもだからって何もこんな言い方しなくても。
随分と潔癖な人なのかな。
「防臭剤を掛けろ!」
「…風呂に入れてきます」
バロウズさんの剣幕に、渋々と答えるリーバーさんの顔には疲労が見て取れる。
こんな個性的で嫌味ばかりな人達が同じ班長なんて、考えなくても頭痛がしてくる。
「…あの、今は仕事中でしょうし…お風呂は後でもいいんじゃないですか…?」
恐る恐る、リーバーさんを庇う意味でバロウズさんに声をかけてみた。
ただでさえ忙しい職場なのに、こんなことでリーバーさんを振り回すのは可哀想だ。
「君は? 見たところ、同じ科学班の者ではなさそうだが」
「はい。探索班所属の月城雪といいます。はじめまして」
同じ班ではなくても、これから同じ目的を共有して働いていく教団の一員だ。
自己紹介くらいはしておかないといけないから、口を挟んだっておかしくはない、よね。
じろりとバロウズさんの目が向いて、思わず冷や汗が流れそうになる。
なんとか頭を下げて名乗れば、不意にずいとその顔が近付いた。ち、近い。
「臭い。君も臭うぞ、月城雪とやら。教団本部の人間は、どこも風呂に入らないのか」
「なっ…」
くんくんと匂いを嗅がれたかと思えば、嫌々しく顔を離され告げられた。
ずばり突き刺すような指摘に、思わず顔が熱くなる。
お風呂ならちゃんと入ってますけど…!