My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
すとんと床に降り立った小さな口に、咥えられたラビのピアス。
粒らな瞳に、滑らかな毛並。
いつの間にゲージから逃げ出したのか、それは黒い毛並のニフラーだった。
「いつ逃げ出したん…あ!」
斑模様のニフラーをゲージに店主が戻す間に、さっと走り出した黒いニフラーは狭いペットショップの床を走り回った。
「オレのピアス!」
「待て!」
「あ、」
置いてけぼりにされたのは雪だけ。
慌ただしくニフラーを追う二人に、しかし当の小さな犯人は捕まらない。
するすると机の下や棚の隙間を走り回り、終いにはゲージの上を飛び移り始めた。
先程の奮闘劇など物優しい程に、傾いたゲージが倒れ扉が開き、様々な動物が飛び出してくる。
「こ、これって凄く不味いんじゃ…」
青褪める雪の足元に、滑るように駆け込んでくる元凶のニフラー。
「雪! そいつを捕まえるさ!」
「まずい! 後ろの扉を開けさせないで下さい!」
「ええっ!?」
ラビと店主に同時に叫ばれ、目の前のニフラーを捕まえるべきか後ろの扉を守るべきか。
どちらにも行けずにふらつく雪目掛けて、ニフラーは軽やかに跳んだ。
かと思えば、とんっと雪の肩を足台にして、後方の扉の取っ手へと跳び付いたのだ。
ニラフーの体重で回る取っ手に、ギィ、と扉が薄く開く。
「あ!」
「げ!」
「あぁー!」
三人三様。
小さな魔法動物によって生まれた逃げ道に、ゲージから解放された動物達が我先にと飛び出した。
「動物達が!」
「この…!」
「待つさ雪!」
慌てて後を追い飛び出す雪に、杖を取り出した店主が扉に向かってひと振りする。
嫌な予感にラビが制するも、魔法の掛けられた扉はバタン!と強く締め切られた。
店主の咄嗟の判断で、ほとんどの動物のペットショップからの脱走を回避できた。
しかし元凶であるニフラーと、何匹かの動物はダイアゴン横丁を走り出している。
「捕まえてくる!」
「雪!」
迷っている暇などない。
雪は硝子の扉越しにラビへと伝えると、一目散にニフラーを追い横丁を駆け出した。