My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「ラビっラビ、早く!」
「そう急かすなって。横丁は逃げねぇんだから」
「だって…あ! あれってもしかして…!」
「おーおー。あんまし先行くなよ! 迷子になるぞー」
遠足地に辿り着いた子供のように、はしゃぎ建物を見て回る雪。
そんな普段の彼女からは余り見られない無邪気さに、ラビも苦笑混じりに後を追った。
「凄い…あれって杖だよね? あの魔法の杖」
「此処はオリバンダー杖店さな。老舗の杖専門店で、大概の魔法使いが此処で杖を購入するんさ」
一件の店を窓から覗き見る雪の目は、山高くびっしりと壁一面に沿って積み上げられた、数々の細長い杖の箱に夢中だった。
首にかけた紐の先の、先程の木片を取り出したラビがそれを見せる。
「実はこれも杖の一部でさ。普段はジジイが厳重に管理してんだけど、今回の為に借りてきた」
「えっそれも杖なのっ?」
「本来の杖の力は失われてるけどな。でもさっきみたく、呪文を唱える以外に杖が必要な場所では使える代物さ」
「へえ…凄い…!」
途端に輝く雪の目は、ラビの持つ杖の破片に釘付けとなった。
凄い凄いとばかり繰り返す雪は感情に素直な子供のようで、ラビの笑みも深くなる。
その反応だけで、此処に連れて来て良かったと思える程だ。
「ちなみに有名所で言えば、あっちが高級箒用具店。魔法使いの飛行手段の定番、飛行用箒が売られてる店さな」
「あれがっ?」
「んでそっちが確か…フローリシュ・アンド・ブロッツ書店。雪も知ってるホグワーツの教科書もあそこで売ってるんだぜ」
「本当っ!?」
「あの丸い屋根の店は、イーロップの梟百貨店で」
「梟!!」
逐一歓声を上げる雪の反応には、笑いを堪えつつも期待に応えたくなってしまう。
あれやこれやと憶えている知識を披露するラビに、雪の目は所狭しと辺りを回り巡った。