My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「だから見ててみって」
痺れを切らした雪が再度問い掛けようとすれば、先を読んだラビに制される。
するとどうだろうか、ぴっちりと壁の形に嵌っていた煉瓦が独りでに動き出したのだ。
左右上下様々向きを変えバラバラに避け始めた煉瓦に、やがてラビと雪の前にはぽっかりと人が通れるだけの穴が開いた。
「うわ…あ…」
その先に広がっていたのは、先程のロンドンの街並みとは全く違っていた。
とんがり帽子のような屋根を持つ店が所狭しと立ち並ぶ。
煉瓦の道が通る前は一切物音などしなかったのに、先の通路には溢れんばかりの人々が行き来していた。
露天の品を物色したり、店内へと出入りしては賑わう人々。
大きな箒を抱えている者もいれば、猫や梟を連れている者もいる。
それはあのフレッドとジョージの店内から雪が見た景色と同じだった。
「此処って…」
「雪が今想像してる通りさ」
先に煉瓦の穴を通り抜けたラビが、振り返り雪へと手を差し出す。
「此処はありとあらゆる魔法道具が売られている場所だから、雪が言ってたその双子の店もあるんじゃないかって思ってさ」
恐る恐る踏み出した雪のスニーカーが、煉瓦の道を潜り抜ける。
ラビの手を取って辺りを見渡しながら、その顔は徐々に明るく高揚した。
「ラビ」
「ん?」
「もしかして此処って、あの?」
「そ」
「横丁?」
「ご名答」
何度も訪ねる雪の問いに、何度も頷くラビの顔。
その回数ごとに雪の瞳が輝く。
あの時は双子に止められ下り立てなかった町並みが、目の前に広がっているのだ。
(此処が、あの)
ポッタリアンなら誰しもが一度は訪れたがる場所。
それが此処──
「ダイアゴン横丁!」