My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「せめてスカートとか…前にリナリーが着飾ってくれた感じのとか…」
「リナリーは関係ないんじゃなかった?」
「う。」
「好きな格好で来いって言ったのはラビでしょ?」
「ぐ。」
どれもが正論で、反論の余地はない。
「そうだけどさ…」
それでも恨めしそうに、ラビの目がちらりと改めて雪の姿を確認する。
「これ、動き易いし開放感もあるし。私は好きなんだけどな」
軽やかな笑顔を向ける雪。
ラビが期待していたものとは違ったが、確かに頼んだことを実行してくれたらしいその姿は、普段見慣れないものである。
特に短いデニムからすらりと覗く太腿や生脚には、男としての目線は釘付けになるもので。
「……(これはこれで悪くないかも)」
時にブックマンから呆れられる程に、切り替えができるポジティブシンキング。
頭の中でそう結論付けると、ようやく納得したようにラビは頷いた。
「仕方ねぇさな」
「合格?」
「まぁ」
「やった」
心底嬉しそうにガッツポーズなんてするものだから、そんな彼女を見ていると許してしまう。
何より待ち合わせた時から、ここ最近では見なかった笑顔を浮かべているのだ。
「うーんっ空気が美味しいねー」
気持ちよさそうに伸びをする雪の言葉通り、此処は空気の綺麗な場所ではない。
どちらかと言えば車の排気ガスが多い場所だ。
それでも雪にとっては、教団の息が詰まる空気より断然美味しいのだろう。
初めて遠足に来た子供のような反応に、ラビにもつられて笑顔が浮かぶ。
「そーさ?」
「うん。天気も良いし、気持ちいい」
「足取りも軽いもんな、なんか」
「うん。弾む」
にこにこと頷く雪の外出目的の本音は、やはりそこにあったのだろう。
傍観者であるラビからしても、雪の現状は見ていて息が詰まるものだった。
その閉鎖的な空間からほんの少しでも彼女を解放できたのなら、ティエドールやブックマンに頭を下げた甲斐があるというものだ。