My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「正解なんて誰にもわからないから、お互いに最善の道をお互いで見つけるんだ。人だけが持つ"言葉"というコミュニケーションツールは、その為のものではないのかな」
…それくらい、俺だってわかってる。
今まで交した言葉が少な過ぎたから、こういう時に壁が出来るんだ。
だがあんたにとっては簡単かもしれないが、俺にとっては簡単じゃねぇんだよ。
その心を引き出して包み込むなんて器用なやり方、どう言葉で表せば可能かなんてわからない。
「うん。便秘が辛そうな顔だねぇ」
「あ?」
誰が便秘だコラ。
「君にとっては試練かもしれないけれど、成長の第一歩でもある。これも正解はないんだ、自分なりに答えを見つけてみるといい」
「…それができりゃ世話ねぇよ」
「一人ならね、難しいかもしれない。でも相手がいるんだよ。人は万能ではない。だけど私は、万能じゃなくて良いと思うんだ」
諭すようなことをよく口にする人だが、不思議とこの人の言葉は説教臭く聞こえない。
だから俺でも耳を貸すことができた。
「不完全だから、人は美しいんだよ。足りないものがあるから、他人と補える」
別に、自分に足りないものを雪に求めた訳じゃない。
ただ…自分にないものを、雪が持っていることは知っている。
「君のような口下手な男だと、理解してもらおうとすれば躓くかもしれないね」
「…んだと」
「そういうところだよ。だからまずは、自分の思いを紡いでみるといい」
紡ぐ?
「普段も心の主張なんてしないだろう? 君は。口に出して初めて気付く、自分の思いもあるんだよ。まずは自分で自分を理解することだ」
「…俺は5歳児じゃねぇぞ」
「はっはっ、そうだねぇ。私も幾つになっても人相手となると修行の身だよ」
馬鹿にされている訳じゃないことは、わかった。
ただ元帥ように、すんなりと物事を運べるとも思えない。
それができてりゃ苦労しない。
だから俺はまだ、こんな所にいるんだ。
「……」
「うんうん、悩みなさい。沢山考えて頭を凝らして、手探りにでも進むといい。君がどの道を選ぼうとも、私は応援しているよ」
考え込むと、この人は妙に穏やかに微笑むもんだから。
手持ち無沙汰に、グラスの中身を口の中に一気に煽った。