My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「君は他人に対して不器用な人間だ。対して雪ちゃんは他人への気遣いに敏感なところがある。その凹凸さが丁度良いとも言うけれど」
「だったらなんなんだ」
「君の不安は、きっと雪ちゃんにも伝染していると思うよ。君がそう感じていないなら、それは彼女なりの気遣いだね」
…雪とは、あれ以来最低限の会話しかしていない。
それだけで雪の心を読み取るのは無理だが、話す時はいつもの雪と変わらなかった。
食堂や修練場で、遠目に見掛ける時もそうだ。
ファインダー仲間に混じるあいつは、いつもと変わらない姿にしか見えずにいた。
冗談も言うし笑いもする。
あからさまに落ち込んだ姿なんて見せていない。
…それが雪らしいとも思うが。
前は取り繕う雪の姿に苛立ちを感じていたが、あいつのことをよく知るようになってからは変わった。
それがあいつの生きる為の術なんだ。
今までもそうやって誰の支えも借りずに立っていなけりゃいけなかったから、弱音を見せない癖がついた。
強がりでもなんでもない、そうしないと生きられなかったからだ。
モヤシと似ていると思っていたが、よく見れば違った。
モヤシは他人の仮面を上から張り付けているように見えるが、雪は自分の姿で覆っているだけだ。
だから時間は掛かったが、それでも求めれば弱い本音も見せてくれるようになった。
意図的に隠している訳じゃないそれは、隙間なく大事に抱えているから、他人の目には見え難いだけだ。
だからコムイやラビもあいつの為にと動くんだ。
取り繕う癖があっても、あいつなりに教団と向き合って生きていたから。
「君の抱えている不安と彼女の抱えている不安は、同じようでも同じではないよ。抱える者によって色も形も変わる。君にとっては大きなことでも、彼女にとっては取るに足らないことかもしれない。勿論、その逆もあり得る」
「所詮はそれも憶測だろ」
「そうだねぇ。だから言葉を交わすんじゃないかな」