My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「守るとは、何から?」
「ノアもそうだが、教団が雪に強いていることもだ。あいつを取り巻く負の手から断ち切ってやりたいのに、俺にはそれができない。…どうしたらあいつを守れるのか、わからない」
「ふむ…それは土台無理な話なんじゃないかなぁ」
自身の顎に手を当てて、空を目で仰ぎながらやんわりと元帥が指示したのは"否定"だった。
大概のことは呑気に笑って受け入れるこの人にしては、珍しい反応だ。
「人間は万能ではないからね。一つのことから守ることはできても、全ての事柄から守り抜くのは無理に等しい。雪ちゃんのような特殊な立場であってもなくても」
そんなこと、わかってる。
だから…アルマを、救ってやることができなかったんだ。
ただあの時の俺は"あの人"ばかりを見ていて、アルマを見る目を疎かにしてしまった。
だから気付いた時には後戻りできなかった。
今は違う。
雪をアルマの二の舞いにはしたくない。
俺の目は曇ってなんかいない。
だからきっと、まだ遅くはない。
「だからって何もしないのは違うだろ」
「そうだね」
反感のつもりで言えば、何故か元帥はその反感が削がれるくらい穏やかな顔で笑った。
「そう思えているなら、君は大丈夫だよ。私の助言など必要ない」
「……助言なんて別に求めてねぇよ」
「おや、そうかい」
素っ気なく返せば、見透かしたような笑顔で笑う。
この人のこういうところはいけ好かないが、反抗したところで足元を掬われるのはわかっていた。
「でも一つお節介を言わせてもらうなら、それは君だけじゃないだろうね」
「?」
「雪ちゃんもきっと同じに悩んでいるはずだよ」
「…なんでそんなことがわかるんだよ」
俺と雪の間にあったことは、当事者の俺達しか知らない。
誰にも言うつもりはないし、雪も恐らく誰にも漏らしはしないだろう。
それでも多少の愚痴で手に取ったように理解する元帥を胡散臭く見れば、その人はなんでもないことのように穏やかな反応を見せるだけだった。