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My important place【D.Gray-man】

第49章 つむぎ星に願いを



「それで、なんの話をしに来たのかな? まぁ凡その察しはつくけどね」


 空になった俺のグラスに元帥から酒を注がれるが、口には付けずに琥珀色の液体を見下ろした。
 …どうせ言わなくてもわかってるだろ。


「やっぱりそうか」


 まるで俺の心の声が聞こえているかのように、その人は頷いた。


「嬉しいよ」

「…は?」


 かと言えば、言葉通り本当に嬉しそうに笑う。
 なんで嬉しいんだよ。


「それだけ君の雪ちゃんを想う心は、真実だろうから」

「…なんでそんなことがわかるんだよ」


 この人の洞察力はずば抜けて高いが、他人の心が読める訳じゃない。
 知った顔で心を暴かれるのは、不快なだけだ。


「だから君は私の下へ訪ねに来たんだろう?」


 それでも確かに、この人の言う通りだった。
 俺がこの人を訪ねたのは、礼の為だけじゃない。
 人間という生き物の感情に対しては、俺よりこの人の方が詳しい。
 その感情が知りたかった。

 雪の、感情が。


「それで、雪ちゃんのことで何かあったのかな?」

「……あんたから見て、俺とあいつはどんなふうに見える」

「ふむ?」


 今更言い訳したところで、たかが底は知れている。
 中庭の椅子で向き合ったまま、思い切って問い質してみた。


「どんな、と言うと?」

「俺とあいつは、あんたが思っているような関係に見えるのか」

「ラブラブイチャイチャカップルかい?」

「…なんだその吐き気を催すようなネーミングは」


 ある意味では間違ってはいないが、認めるのは腹立たしい。
 偶にコムイみたいな子供染みた言動するよな、この人。


「恋人だよ。私にとっては可愛い息子と娘だね」

「……」

「そんな嫌そうな顔をしなくても」


 そんな気持ち悪いことほざくな。


「とにかく、心配しなくても私には中睦まじい二人に見えているよ。愛おしい程にね」

「中睦まじくなんか見えんのかよ」

「私の目には、ね。捉え方は人それぞれだ」

「……」

「それが心配なのかい? それなら問題は──」

「あんたには、そう見えてるのか」

「うん?」


 そんな微笑ましい単語で括れるような。


「…俺には、そうは思えない」


 だが俺自身は、一つも賛同できなかった。

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