My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「科学班や中央庁の物だっていう証拠はどこにあるの?」
「じゃあ逆に魔法界のもんだって証拠は?」
ぅ…手強い。
ラビは頭の回転も早いし口も立つ。
のらりくらりと躱されれば、尻尾を捕まえることは難しい。
「あるよ」
でも、ここで退く訳にはいかない。
今度は反対側のポケットから、あるものを取り出した。
透明な小瓶に詰まった、煌めく粉末。
「これもフレッドとジョージに貰ったんだけど…フルーパウダーっていう、魔法使いが移動手段に使っている粉」
「…本物さ?」
「ライターの効果も見せたでしょ。本物だよ。これがあれば、アレンの方舟みたいな能力が使える」
それも身を持って体験済み。
「てか、なんでそんな雪が色々魔法グッズなんてもんを持ってるんさ。いいのか? それ」
「…特別って、言われたから」
ラビの手からライターを取る。
大事にポケットに戻して、フルーパウダーをラビの前に翳した。
「私の体の事情のことを知って、力になれないかって言ってくれたの。魔法の力を使えば、もしかしたらノアメモリーを抑えることができるかもしれない」
「なんさそれ…そんなこと言われて、雪は本気にしたのかよ?」
「じゃなきゃわざわざこんな所にラビを連れ込まないよ」
腰を上げて、一歩ラビから距離を取るように下がる。
書庫室の奥なら普段から人気はない。
ここで魔法を使っても、見つかる危険性は少ないから。
「どう足掻いたって結局私は、ノアメモリーの保持者で…ラビもユウ、も、皆教団側の人間で…どんなに優しくされても、此処にいると、偶に息が詰まる、の」
「…雪…」
「そうじゃない人達の傍にいて、気付けたの…そこは私には、凄く息がし易い場所だった」
フレッドもジョージも、私のノアの力が暴走したところを見たはずなのに。
変わらず屈託なく接してきてくれて、それがどんなに楽な気持ちにさせてくれたことか。
「…望むなら、迎えようって言ってくれたの。魔法界に。その為の手段で、これを貰った」
フルーパウダーを使えば、一瞬で目的地まで辿り着くことができる。
トクサ達鴉や、警備班の目を掻い潜って逃げることはきっと容易い。
「私、ね…彼らの世界に、行ってみようと思う」
「……は?」