My important place【D.Gray-man】
第49章 つむぎ星に願いを
「じゃあついて来なければいいじゃないっ」
「馬鹿ですか? 私は貴女の監視役なんですよ」
「というか心配しただけなのにッ」
「他人を心配なんて出来るご身分なんですか? 貴女は」
大層なご身分ですね、と嫌味ったらしく返されてぐっと言葉に詰まる。
すんごく嫌味だけど、トクサの言い分は的を得ている。
トクサよりも教団で分が悪いのは私の方だ。
だからってそんな返しもどうかと思うけど。
心配してくれてるのか、単に貶しているのか…や、トクサのことだ貶してるな。
「…心配して損した」
「それはどうも」
むすりと返しても相手は何処吹く風。
くそぅ…なんでこんな奴の腕まで治したんですかアルバスさん。
「トクサって絶対友達できないタイプだよね」
「職場で友など元から作る気はありませんね」
「プライベートでも作らないでしょ」
「おや。よくお分かりで」
伊達に一緒にいないから。
「私が大切にしたいものは既に手元にありますから。今更必要ありませんね」
トクサの大切にしたいもの?
予想外の返答に、思わずトクサの顔をまじまじと見る。
けれどすぐに前を向いてしまった表情は、読み取ることができなかった。
「トクサにとって大切なものって?」
「教える義理が?」
「…この嫌味マンめ」
「文句のボキャブラリーくらい増やして下さい」
あーハイハイもういいよ。
教えたくないんでしょそうでしょ。
このままじゃ売り言葉に買い言葉。
掴まれた手を振り解いて、足早にトクサを追い抜き裏口に向かう。
嫌な思いばかりが渦巻く感情を払うように、思考を切り替える。
こういう時は楽しい話でもすればいいって、誰かが言…誰だったっけ。
「ええと…」
思い出せない…でも楽しい話をしたんだけどなぁ…。
最近知った魔法界のことを話せば、笑顔で聞いてくれた。
誰だっただろう。
「うーん…」
「何ブツブツ唸っているんですか。早く入って下さい」
「わっ」
裏口の前で首を捻っていれば、後ろからトクサに背を押された。
文句でも返そうかと振り返って、思い出そうとしていた思考に一筋光が差し込んだ。
「あっ」
「?」
思い出した。
話し相手は思い出せないけど。
とある魔法グッズのことを。