My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「トリック オア トリートです、マダム。この賎しい悪魔に、貴女の甘味を分け与えてはくれませんか?」
「え、ええ勿論…!」
「……リンク監査官。これってお菓子か悪戯か問い掛ける遊びだったわよね?」
「あれは意地汚い悪魔です。選択肢は菓子類しか頭にないのでしょう」
身形は悪魔であっても、立ち振る舞いはまるで紳士のよう。
玄関先に立つ中年女性の手を優しく握りながら微笑むアレンに、秒殺で女性が菓子をドバドバと抱えた大籠に流し込んでいく。
そうして戦利品を頂いてきたのか。
アレンの籠には、ミランダの何倍もの菓子類が詰まっていた。
後方で呟くリナリーの言葉は尤もなもの。
しかし止める気はないのだろう、多少呆れた顔をしつつリンクと見守っていた。
「ま、まぁ…アレンくんらしいわね…」
「最早ハロウィンとは別物である…」
相手の心を巧みに掴み目的のものを奪い取るアレンに、ミランダとクロウリーも目を見張った。
正に天使のような悪魔の微笑み、である。
と、そこへ突如わぁっと大きな子供の歓声が届く。
何かと視線を変えたミランダの目が捉えたのは、夜の街を鮮やかに飾る南瓜と同じ頭をした青年。
ラビだ。
「にーちゃんすげー!その頭どうなってんの!?」
「南瓜の王さまだー!」
「フフン。構造はトップシークレットさ。んで南瓜の王様じゃなくてハロウィンの王様な!」
「ラビさん人気者っスね…!凄い!」
「それ程でもねぇさ、もっと言ってチャオジー」
沢山の子供に囲まれ、キラキラと輝く目で見上げられているラビは、さながらハロウィンの王様のようにも見える。
ジャック・オ・ランタンと化したラビの仮装は、見事に子供心を掴んだのだろう。
あんなに南瓜頭を嫌がっていたラビはどこへやら。
胸を張ってふんぞり返る姿は、お調子者の道化師の仮装に見事にマッチしていた。
「良かった、ラビくん楽しそう」
そんなラビの姿に、安堵したようにミランダが頬を緩ませる。
渋々参加だったラビのことを気に掛けていたのだろう。
「そうだな」
「ラビくんがあれなら、神田くんも楽しめてるかしら?」
ミランダの優しさに、マリも笑みが深まる。
と、ふと思い出したようにミランダの顔が上がった。
その口から出たのは、もう一人気に掛けていた人物の名。