My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「ユウ」
「…んだよ」
「ティモシーの為にも、私達もお祝いしなきゃ。行こう?」
「此処までついて来てやったんだ。それで充分だろ。俺は此処で待」
「はいはい。なんの為の仮装なの。観賞用じゃないんだよ」
「っ、オイ、雪待て」
「大丈夫、だいじょーぶ。不安なら手を繋いでてあげるから。怖くないぞー」
「俺は幼稚園児かよ!」
顔を渋める神田の腕を掴み、遠慮なしに引っ張る。
ただ見て楽しむ為の仮装ではないのだ。
一年に一度の行事に参加し、共に楽しむ為のもの。
「アレンと喧嘩してる時の精神年齢は同じようなもんでしょ。さぁレッツゴー」
「だから待っ…ッおまっ話聞け…ッ!」
「はいはいはい」
神田の罵声など聞き慣れたもの。
BGMとして聞き流しながら、少し強めに腕を引っ張って歩く。
そうすればなんだかんだ付いて来てくれることを、ちゃんと雪は知っていた。
「私初めてなんだ、ハロウィン参加。だから凄く楽しみなの」
振り返った雪の笑顔と、ぱさぱさと背後で揺れる尾。
そんな姿を見てしまえば、抗う言葉も止まってしまうというもので。
「(チッ)…お前、卑怯だぞ」
「? 何が」
意図的に企んでいる訳ではないのだろう。
そんなふうに笑って言われれば、神田が抗えないことなど雪は知らない。
内心だけで舌を打ち、それ以上神田は何も言わなかった。
無自覚な者に卑怯も何もない。
「ユウも初めてなんでしょ?ハロウィン。じゃあ私と一緒だね」
「それがそんなに嬉しいのかよ」
「うん」
問えば迷い無く即答された。
へらりと砕けた笑み付きで。
「ユウと一緒ならなんだって嬉しいよ。だからちょっとの間だけ付き合って」
ティモシーの為もある。
しかしこれは神田の為でもあるのだ。
ティモシー程の年頃の時には、お互いに経験できなかったからこそ。
こうして今できることを、大切な人と共有していたい。
「……食えよ」
「え?」
「菓子は全部雪が食え。そこまでは面倒見きれない」
視線を合わせず、ぼそりと告げられる。
それは神田なりの了承の形だとわかったから。
雪は笑みを深めると、ぱさりと大きく尾を揺らした。