My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「神田は複数の異性に目移りするような、器用な人間じゃないし」
「そうね。それに二人は何よりお似合いだもの」
「そう…かな。見た目で言えば、凄くつり合ってない気がするけど…」
二人の絶賛に、くすぐったそうに首輪の鎖を弄りながら雪は今一度後方の神田へと目を向けた。
あんなに目を惹く見事な仮装をしている神田に比べ、自分はただ取って付けたような半端な獣人姿。
月とスッポンなのは、誰が見てもわかる。
「私もミランダさんみたいに、可愛くして貰えばよかったかな…」
今更ながらの後悔が口から零れ落ちる。
着飾った所で、所詮スッポンはスッポンであることに変わりないが、少しは見栄えもよくなったかもしれない。
見た目など気にしたことはあまりなかったが、神田の隣を寄り添い歩くようになってから生まれた、女らしい感情。
異性だけでなく同性の目をも惹く神田の容姿は、時折雪を色んな意味で振り回す。
「その格好も充分可愛いわよ?雪ちゃん、自信持って」
「そうね。私だったらつい触ってしまうもの。この耳」
「うふふ、私も」
「…あの。遊んでませんか二人共」
「「まさか」」
にこにこ笑顔で、二人の手が雪の獣耳や尻尾を撫でる。
くすぐったそうに獣の部位を揺らしながら疑う雪に、返されたのは素晴らしく良い笑顔だった。
「それにちゃんと飾ってるじゃない。こんなリボン付けてたっけ?」
「ああ。これは貰い物なの。落とし物って言う方がしっくりくるかな?」
臙脂色の数珠を付けた左手首。
その隣に控えめに飾られてある、編み込んだミサンガのようなもの。
ちょこんと付いた小さな赤いリボンの装飾が、控えめながらも愛らしい。
今まで雪が身に付けてこなかったデザインに、物珍しそうにリナリーは目を向けた。
「誰の落とし物なの?」
「縫いぐるみ」
「「縫いぐるみ?」」
「…みたいな女の子」
どう説明すれば良いだろうか。
上手く表現が出来なくて、雪は苦笑混じりに言葉を濁した。
細かく話すならば、教団の独房でのことを話さなければならない。
今この場で気軽に話せるようなことではないことは、重々心得ていた。