My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「…そうだね。寂しいかもね」
ずきん、ずきん
俯き加減に教団の床を見つめて。
雪は微かに痛んだ胸に手を当てた。
「でも、私の代わりに支えてくれる誰かがいてくれるなら。ありがたいと思う」
綺麗事ではない、これは本音だ。
亡くなった者を想い続け虚無に似た世界を歩く感覚を、嫌という程知っているから。
そんな世界を神田に歩ませたくはないと思った。
ずきん、ずきん
胸は苦しさを主張する。
ぎゅっと胸の上で拳を握り、雪は顔を上げると力無く笑った。
「独りぼっちに、させたくないもん」
誰より大切な人だからこそ。
「…雪…」
「雪ちゃん…っごめんなさいねぇええ!」
「うん。なんか、ごめんね」
「え。何が。なんで頭撫でられてるの私」
優しく頭を撫でてくるリナリーと、真横で滝のように涙を流すミランダ。
一体なんのスイッチが入ったのか。
怪訝に見る雪に構うことなく、二人はしみじみとその儚い想いを受け止めていた。
「大丈夫よ、神田は面白いくらいに雪しか見てないから。前に雪が熱出して寝込んだ時あったでしょ?あの数日間、どんなに話し掛けてもずーっと素っ気なくて。そんなに気になるなら見舞いで傍に張り付いてなさいよって言ったら、壁に顔ぶつけてたわ」
「な、何それ」
「さぁ。図星だったから動揺でもしたんじゃないの?」
「あ!それなら私もっ。前はよく神田くんに貧相とか貧弱女って呼ばれてたんだけど、最近はそれが減ってきて嬉しくなってお礼を言ったの。そしたら"お前の為じゃない"って言われて…あれ、きっと雪ちゃんの為だったのね」
「な、何それ…?」
「だって雪ちゃん、よく神田くんに注意してくれてたでしょう?そんな呼び方するなって。神田くん、雪ちゃんの言うことには耳を傾けてるのね」
神田は強い意志を持っている。
雪が忠告したからといって、ころころと自分の意志を曲げはしないだろう。
それはミランダのことを多少なりとも認めた神田の心があったからだ。
しかし、もしも雪の声も聞いてくれていたのなら。
「………」
胸の痛みはいつの間にか消えていた。