My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
(絆、か……呪いのようにも思えるけどな)
もしも本当に神田が吸血鬼として雪に恋し、そんな結末を迎えるのならば。
大人しく血を飲み干されたいとは思えなかった。
神田に心中するような真似はして欲しくない。
どうにか生き永らえる道を模索するだろう。
望むのは、愛する彼を死を以て手に入れることではない。
愛する彼が、世界を認めて笑っていられることだ。
今まで関心を持てなかったものに目を向け、触れなかった人と関わり、"人"らしく生きていくこと。
今回、ハロウィンに無理矢理にでも神田を誘ったのもまた、そんな雪の心からだった。
何気ない行事に興味を持ち、楽しさを感じてもらえたなら。
自分が幼い時に欲したキラキラと輝く物事に、神田にも浸ってもらえたなら。
それだけだ。
「私は…あんまり嬉しくないかな。私を追って命を絶たれること」
ぽつりと控えめに主張する雪の言葉に、ミランダとリナリーは目を止めた。
「生きていれば、道はいつか拓けるかもしれない。でも死んでしまえば、そこで終わりだから」
雪自身がそうだった。
焦がれに焦がれた両親を失い、道を見失い生きることさえ諦め掛けていたと言うのに。
今ではこんなにも、傍にいて共に生きたいと思える相手ができた。
昔の雪では想像もできなかったことだ。
「生きてさえいれば。自分の心を埋めてくれる何かを、前に進められる何かを、見つけられるかもしれない」
「雪ちゃん…」
「…でもそれって寂しくないの?だって、自分の代わりに誰かを想うってことでしょ?」
リナリーの言葉も尤もだった。
神田が、他の誰かを焦がれ想い抱いたら。
雪に触れるように手を伸ばし、雪に囁くように愛を紡いだら。
想像する前に、ずきん、と胸は痛んだ。
想像する間でもない。
(ぁ…地味にキツいかも)
辛いに決まっている。