My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「神田、噛み付いてこなかったの?クロウリーみたいに」
「うふふ。いくら吸血鬼になったからって、あの神田くんが女の子に噛み付くなんて。きっとしないわ、リナリーちゃん」
「でももしかし…」
たら、という言葉を呑み込んで、リナリーは目の前の姿を凝視した。
「…っ」
ぎこちなく視線を逸らす雪の反応を見逃さなかったからだ。
「…ふぅん(噛み付かれたんだ)」
「まぁ…(噛み付かれたのね)」
ミランダと共に頷き合う。
「なんて言うか、ご馳走様」
「っ何が?」
「いいよ、隠さなくたって。女子同士なんだし。神田と仲良くやれてるってことよね?」
「っ」
笑顔でパチンとウィンクをして見せるリナリーに、皆まで聞かずとも雪の顔は熱くなる。
そんな反応を微笑ましくミランダは見つめた。
「なんだか素敵ね」
「っ何が!?」
「愛する人からの行為だもの。吸血鬼の恋って特別なのよ。雪ちゃん、知ってる?」
両手を合わせて、コスプレに喜んでいたリナリーのようにミランダは顔を綻ばせた。
「前に、古い書物で読んだことがあるの。吸血鬼は愛する人の血を飲むと、それ以降はその人の血しか体が欲さなくなるんだって」
「何その話…」
「へえ、素敵ね。まるで絆みたいじゃない」
疲れ気味に肩を落とす雪とは反対に、リナリーは楽しそうに耳を傾けた。
その顔はさながら、恋バナに花を咲かせる女子のよう。
「でもどんどんその欲求は強くなって、最後には愛する人の血を飲み干して殺しちゃうのよ。だけど愛する人を失ってもその人の血しか体は受け付けなくなってるから、最終的に吸血鬼も命を落としてしまうの。だから吸血鬼の恋は簡単にはできない、特別なもの。そうその書物には書かれていたわ」
「ふぅん…哀しい結末だけど、やっぱり素敵な話ね」
「ええ。死も超える愛だなんて、強い絆なのよ。きっと」
「………」
楽しげに言葉を交えるミランダとリナリー。
しかし雪だけは、笑顔を浮かべることなくその話に黙って耳を傾けていた。