My important place【D.Gray-man】
第45章 10/31Halloween(番外編)
「んっとにお前は…(そういうことは二人きりの時に言えってんだよ)」
手を伸ばして触れたくなる。
感情のままに、想いのままに、雪自身にぶつけたい。
なのにそれが出来ない歯痒さ。
理由はただ一つ。
「…リア充なんて爆発しろさ」
「取り敢えず本当に爆発させていいですか。神田だけ」
「ウォーカー!イノセンスを向けるのは止めなさい!」
ひしひしと敵意を向けてくる周りの連中が邪魔だから。
それに尽きる。
南瓜の顔を引き攣らせつつ親指を下に向けるラビと、にこやかに発動させたイノセンスを神田に狙い定めようとするアレン。
リンクの静止が耳に煩いと、神田は熱を冷ましつつ顔を渋めた。
此処が公の場でなければ、珍しい雪の姿をもっと堪能できたと言うのに。
あわよくば、溢れる想いのままに触れることができたら。
雪に対する欲は、自分でも呆れるくらいに底がない。
「そ、それじゃあ行こうか。時間も押してるし」
案の定、周りの空気にはっとした雪がぎこちなく神田から距離を取る。
その体が手の届かない所へと行く前に、雪の腕を掴んだ。
「なん───」
「宣言通り、今日はお前の部屋に泊まるから。ちゃんと待ってろよ」
「え?って待ってまさかまた…っ」
雪にだけ聞こえる声で告げれば、振り返った顔が赤く色付く。
何を想像しているのやら、今度はわかり易いものだと神田は薄く笑った。
「何想像してんだよ。やらしい奴」
「ん、なッ」
「でもそうだな、アレはまた欲しいから───」
間近で見下ろす神田の目が、ゆらりと深紅を混じえて揺れる。
滑るように、雪の顔から大きな首輪を付けられた首筋へと視線が移る。
「今夜、貰いに行く」
薄く弧を描く口元。
その隙間から覗く、鋭い犬歯。
神田が欲しているものがなんなのか。
それが理解できた途端、雪の体内でドクリと血脈が立つ。
無意識にこくりと唾を飲み込み、嚥下した。
己の血を差し出すなど、食されるなど、非現実的な行為。
なのにどうしようもなく抗えない気がした。
深紅の瞳の吸血鬼に、魅了されて。