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My important place【D.Gray-man】

第43章 羊の詩(うた).



 ベッドに足も上げて座り込んだまま、囚人服の胸元のボタンをぷちぷちと少しだけ外す。

 …そういえば、前もこんなことあったな。
 あれは確かゾンビ化事件で汚れた病院服を着替えた時。
 それとバレンタインの日に雨に降られて、ユウと橋の下で雨宿りしながら上着を借りて着替えた時。

 ゾンビ化事件の時は、私の体になんて微塵も興味ないって態度で突っ撥ね返されて。
 バレンタインの時は、そんな態度は見せずに逆に親切にされた。
 ユウらしい素っ気無さの残るものだったけど、確かにあれは濡れた私の体を心配してくれてた。

 …そうして思えば、ゾンビ化事件からあのバレンタインまでの間に、ユウの私に対する態度は少しずつだけど変わってきてたんだ。
 なんとなく思い出すとそんな些細な変化に気付いて、少し口元が緩んだ。


 だけど。


「……」


 下着が見えるところまでボタンを外して、確認できた胸の間の肌には見慣れた薄い火傷の跡が残されたままで、口元の笑みは消えてしまった。

 胸の真ん中から放射状に伸びている、小さな星型模様のような火傷跡。
 そこだけ肌の色も質感も違う、少し凸凹した傷痕。
 触れば指先が少し引っ掛かる。

 …大分前から残っていた跡だからかな…これは、治癒されてくれなかったんだ…。


「どうした」

「……ううん」


 黙り込んで反応のない私を気遣ってか、ゾンビ化事件の時のように背を向けたままユウが問いかけてくる。
 短い返事だけ返して、触れていた火傷跡から手を離す。

 期待してしまった分ショックだったけど…怪我なんて日常茶飯事だし。
 胸元なんて普段見える場所じゃないし。
 跡だって小さなもので、そこまで気にする程じゃない。
 そう自分で自分に言い聞かせながら、再びボタンを留め直す。

 と。


「なんでもな──」


 なんでもない、と取り繕うように言いかけて。その言葉を止めたのは、背後から視界に映り込んだ手だった。

 …手?

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