My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「じゃあなんだってんだよ。排ら」
「だからその名称禁止だってば!」
再び端整なお顔から繰り出される生々しい名前に、結局本当のことを口にせざる終えなかった。
「む…胸の火傷、なの」
「…胸?」
「さっき話したでしょ。…アレンの退魔の剣を胸に受けた時に、十字の模様が浮かんで…火傷みたいな跡ができたって」
恥ずかしいから言いたくなかったのに…。
ぽそりぽそりと仕方なく説明すれば、じっとこっちを見てきていたユウの目が………胸元を見ないで下さい。
恥ずかしいんだから。
「それもこの治った火傷跡みたいに、消えてたりしないかなって…気になっただけ」
「……だからか」
「え?」
胸元をユウから隠すように、さり気なく体を背ける。
すると不意に何かに納得したように、ユウの顔が上がって私の顔を見た。
何? だからかって。
「お前、裸になる時は頑なに部屋を暗くしろって、肌を見せようとしなかっただろ。ただ恥ずかしがってるだけかと思ってたが…それか。理由は」
「……」
………本当、洞察力が高過ぎるのって時として問題だと思う。
確かにユウと肌を重ねる時は、必死にそれを隠してた。
恥ずかしいって理由も勿論あったけど、主な理由はそっち。胸の火傷の跡を見られたくなくて。
少しでもノアに繋がる痕跡を見つけられることが、怖かったから。
「…女子の事情です」
はっきりと言葉にしてくるユウに、その肌を重ねてた時のことを思い出して恥ずかしさが増す。
ぽそりと言い訳みたいに付け足して、完全に背中を向けた。
「…こっち、見ないでよ。見られるの恥ずかしいから」
「……」
ベッドに乗って顔だけ向ければ、黙り込んだユウは静かに椅子ごと背を向けて座り直してくれた。
別に今此処で確かめる必要性はなかったんだけど…無性に気になってしまったのは本当だったから。
ユウの気遣いに甘えて、ついでに確かめることにした。
…火傷、消えていればいいけど。