My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「……………はぁあ」
沈黙。からの、重い重い溜息。
顔をそっぽ向けてまで深い溜息をつくユウに、体が緊張で固まる。
え、何その反応。
なんでそっぽ向くの。
さっきまではっきりこっち見てきてたのに。
そして何その深い溜息。
「お前って……はぁ」
「な…何」
やっとこっちを見たかと思えば、また横を向いて深い溜息。
何、"お前って"の後。
凄く気になるから、言葉を溜息に変換するのはやめてくれないかな。
「呆れ通り越して感心する」
「呆れって…」
「んで感心通り越して馬鹿だな」
「んなっ」
はっきりと"馬鹿"を強調して言うユウに、思わずベッドから僅かに腰が浮いた。
馬鹿って!
結局呆れてるのと同じじゃないのっ?
「泣きそうな顔も泣く姿もガキみたいな癖して、なんでそういうところは頑固に大人振るんだよ。お前は」
「べ…別に、そんな意識してない、けど…」
「知ってる」
目の前で椅子に座ったままのユウが、不意に手を伸ばしてくる。
距離は近いから、簡単に伸びた手は私の枷が嵌められた手に触れた。
──いや。
触れてはいない。
触れる直前で、ぴたりと止まるユウの手。
「お前、本当に欲しいもんにはそう手を伸ばさないだろ」
「…?」
「軽い思いなら簡単に出す癖に、大事な思いは奥にしまい込む。簡単に口に出せない奴だってことは知ってる。だから待つとも言った。………でも事の重大さを考えろよ」
ぐ、と私の手の前で握られるユウの大きな拳。
「命の危険まで感じたんなら、助けの一つくらい求めろ。馬鹿が」
爪の先が白くなる程強く握られた拳に、ぐ、とユウの歯も食い縛られる。
"馬鹿"と罵りながら、まるで私に向けられていない言葉だった。
寧ろ向けているのは──
「馬鹿だろ、本当」
「……」
…自分自身、みたいに。