My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
始まりはミュンヘンの墓地で遭遇したAKUMAに、襲われた後のこと。
ユウのお陰で一命を取りとめたけど、額に原因不明の怪我を負ってしまった。
小さな十字架模様の切り傷。
AKUMA討伐の任務中に負った怪我かと思ってたけど…振り返れば、あれは勝手に浮き出た最初の"きっかけ"だったんだ。
私がノアである最初の予兆。
それから帰還後、コムイ室長に命じられて教団で一時入院している間に巻き込まれたゾンビ化事件…じゃなかった、黒の教団壊滅未遂事件。
そこで私はこの額の傷が、単なる怪我じゃないことを知った。
勝手に内側から皮膚が裂けて表れた謎の傷。
同時に聴こえた、知らない誰かの声。
"奴を許すな"
その台詞は後に何度も聴くようになる。
自分の体の中で、自分の知らない謎の現象が起きている。
そのことに不安は感じていたけど、教団での激務もあって見て見ぬフリをし続けていた。
『それ、あれじゃねぇさ? ノアの聖痕ってやつ』
そう、的確な予言をくれたラビの言葉も。
でもそんな無視し続ける私に現実を突き付けるかのように、あの事件が起きた。
ロンドンでのイノセンス回収とAKUMA討伐の同時任務で起こった、AKUMAとの戦闘。
そこでアレンの退魔の剣を私は胸に受けた。
私はただの人間だから、アレンの退魔の剣の影響は何もない。
そう思っていたけど…そんな私を襲ったのは胸への衝撃と頭の割れるような激しい痛み。
そして、またあの謎の声。
割れるような痛みは額を裂いて、それこそノアの聖痕のような十字傷を示した。
そこで私はようやく自分の体に何が起こっているのか、否応なしに理解した。
自分がただの人間じゃないこと。
教団に知られたら命も危うくなること。
夜中の書庫室で沢山調べ尽くしたけど、ノア化回避の方法なんて何もわからなくて途方にも暮れた。
…あの時、同じように14番目のノアのことで不安を感じていたアレンと出くわした話題は避けた。
あれはアレンのノアの問題だ。
私が勝手に話していいことじゃない。