My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「此処は教団なんだぞ。そしてお前は被疑者側。どうしたら此処で命を繋げられるか、それだけ考えてろ」
「れ、れも…」
「でももクソもねぇ! 次イノセンスに全身焼かれなんてしてみろ。消毒液溜め込んだ風呂にぶち込むからな」
「っ!?」
顔を間近に寄せて凄みを利かせてくるユウに、思わず後退って背中を石壁にびたりと押し付けた。
そんなの最早ルベリエ長官と同レベルの拷問だから…!
絶対死ぬ!
「俺にはもっと体を大事にしろって言ってくる癖に、肝心の自分が粗末にしてりゃ世話ねぇよ。ならお前も自衛しろ。俺の為に」
「ユ…ユウの為?」
「ああ」
痛いくらいに摘ままれてた手が頬から離れる。
「ノアは不死だなんて言われてるが、んなもんデマだ。それだって"人"だろ」
間近で二つの闇のような目にしかと捉われたまま。ユウは迷いなくそれを告げた。
「人はいずれ死ぬものだ。人で在る限りな」
「……」
"いずれ死ぬ"
そうはっきりと告げられて、ショックのようなものは感じなかった。
寧ろ妙に納得して…不謹慎かもしれないけど、少し嬉しくも感じた。
ユウは私を"ノア"である前に"人"として見てくれているんだと、そう思うと。
『お前は人間だ、何も変わりゃしない。" "であったってなくたって。それを忘れるな』
…?
あれ…なんだろう。
似たようなこと、以前も誰かに言われたような…。
……あの時、あの人はなんて名前を口にしていたっけ…。
なんだか懐かしさを感じるような名を、口にしていた気がする。
「わかったか」
念を押すように告げられて、はっと逸れていた意識が目の前のユウに戻る。
イノセンスに焼かれるな、なんて無茶なこと言うけど…でも私もできるなら二度は遠慮したい。
あんな、激しい痛みと逃げ場のない恐怖。
「…うん」
思い出したら身震いがした。
胸の前で両手を握って小さく頷く。
そんな私の様子を見てか、ユウの大きな手が握った両手にそっと上から重ねられた。
ひんやりと少しだけ低い体温。
…ユウの手だ。
そう実感すれば、体の震えがゆっくりとだけれど収まっていった。