My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「…すご……って違う!」
「あ?」
傷跡一つ残っていない綺麗な自分の腕を見て、思わず呟き即否定。
問題はそこじゃない。
「だ、駄目だよこんなことしたら…ッ」
「は? なんでだよ」
「今の私は前の私と立場が違うんだから!」
教団で働くファインダーとしての私じゃない。
戦犯被疑者としての私をユウが自身の血で治癒したとなると、色々と問題視されてしまう。
それこそ敵の片棒を担いだんじゃないかって思われても、おかしくないかもしれない。
「"ノア"って括りにされてるのに…っそんな私をユウが第二使徒の力で治癒したなんて知られたら、色々問題が…っ」
「んなもん黙ってりゃバレないだろ」
「バレるから! こんな短時間で完治なんてしたら絶対バレる!」
「治るかもしんねぇだろ。お前ノアなんだし」
「え、何その適当さ。私にそんな能力ないからねっ?」
「あるかもしんねぇだろ。お前が知らないだけで。すげぇな、流石ノアは超人だって言われてるだけある」
「適当! なんかすっごく適当! そしてすっごく棒読み!」
何その無責任発言!
ノアを都合の良い道具にしてない!?
「ユウはもっと事の重大さを自覚するべきだと思う…ッそんな軽いことじゃ──」
「ったく、うだこだうっせぇな」
ユウのことを思って、一生懸命訴えかけてるのに。
うざいと言わんばかりの顔で片耳を塞ぐと、空いた手でユウは徐に私の手枷の鎖を引っ張った。
急に引っ張られた手首の痛みで、口が閉じる。
「この錠だけでも気に入らねぇってのに、体中焼かれた状態で放っておけるか」
「っ…でも…ッ」
「大体お前はそうやって他を気にし過ぎなんだよ。まず自分の立場を心配しろって、パリの独房でもそう言っただろうが。ァあ?」
「ぃ…っいひゃいっ」
眉間にくっきりと皺を刻んだユウの手が、今度は私の頬を抓ってくる。
思いっきり不快感を表した顔を見るに、相当気に喰わないらしい。