My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「けほっ…ユ…何、血…っ」
軽く咳き込みながら、突然のユウの不可解な行動の意味を問う。
急に口移しで血を飲ませるとか、どういう意図なの。
食事が喉に通らない私への栄養摂取?
…いやいや、私クロウリーと違って血液なんて主食にしてないから。
「……」
「ユ…? ちょ、何っ」
だけどそんな私の問いに応えることもなく、黙ってユウが手を伸ばしたのは私の頬。
ペリペリと遠慮なく頬に張り付けられていたガーゼを剥ぎ取られる。
折角婦長さんが手当てしてくれたのに…っというか、火傷の跡なんてみっともないから見られたくないんだけど!
「何して…!」
「よし」
「?」
よし?
あっという間に剥ぎ取られたガーゼに、火傷の跡を見たユウが満足したように頷く。
え、何。
何が"よし"なの。
「包帯の下も見せろ」
「え?」
理解が追い付かないまま、今度は腕の包帯の留め具をユウの指が摘まむ。
そのままあれよあれよという間に、体中に巻かれていた包帯は剥ぎ取られてしまった。
と同時に気付く。
「…消えてる」
はっきりと肌の上に浮かんでいた生々しい火傷の跡が、綺麗さっぱり消えていることに。
そういえば、あのじくじくと体の内側から襲うような痛みも消えていた。
…え、嘘。
…………いつの間に治ったの?
「体の痛みはまだあるか」
「……ないです」
「ならいい」
唖然と首を横に振れば、それが望んだ応えだったんだろう。剥ぎ取った包帯を石の床に放って、ユウは私の全身を見るように体を離して距離を取った。
…もしかして。
前にも一度あった。
あれは確か…AKUMAの銃弾を体に撃ち込まれた時。AKUMAウイルスに侵されて死ぬんだと覚悟した時、ユウが取った行動。
それが今と同じ、私に自身の血を飲ませるものだった。
ユウの体は驚異的な治癒力を持ってる。
まさかあの時と同じで、今飲まされた血が私の火傷を治したの?
…あんな少量の血で?