My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「私がちゃんと、自分の口で伝えていたら…そんなふうに追い詰めなかったのに」
ユウは強い部類に入る人間だ。
迷いなくそう思う。
でもそれは。
他の人より少しだけ、固い意志を持っていて。
他の人より少しだけ、それを実行に移す行動力を持っている。
だから強く見られがちなだけで、ユウだってきっと弱い心を持ってる。
でもそれを周りに感じさせないのは…見せないからだ。
少しの隙間だって見せようとしない。
昔からユウを傍で見てきたから、冷たかったあの頃からここまで変わってくれたユウを見てきたから、わかる。
悩んで、立ち止まって、塞ぎ込んで、泣きたくなる。
きっとそういう思いも経験してる。
でも周りには見せようとしないから、誰もそのことに気付かない。
だからユウは強い人だと思われてる。
「ごめんね…ちゃんと全部話すから。私の想いと、一緒に」
でも、私は気付けたから。だから意地でも見つけるよ。
こうして、弱い本音を見せてくれたユウのこと。
全部私が受け止めて、全部私が拾うから。
強いユウも弱いユウも丸ごと全部、抱き締めていたい。
「大好きだよ、ユウ。真っ直ぐ向き合ってくれる強いところも、迷った時に引っ張ってくれる優しいところも。…お酒に逃げる弱いところも」
「……………弱いって言うな」
ぼそりと出た小さな抗いの言葉に、つい頬が緩む。
そういうところも、だよ。
「ぜんぶ、愛おしいなぁって思う」
今度は逸らされない。
真っ直ぐに向けられている、吸い込まれそうな二つの闇を見つめ返した。