My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
愛しくて、堪らない気持ち。
これが"愛情"って言うのかな。
「変だよね。檻に入れられてるのは私で、人並みな強さだってユウには到底及ばないのに…そんなユウを守りたいって思うの」
よくわからないけど。
こんな状況下で言うと滑稽な言葉でしかないだろうけど。
それでも、私の強い思いだった。
守っていたい。ユウのこと。
駒としてしか見ていない中央庁からも、エクソシストという作られた立場からも。
運命や使命という都合の良い言葉で遠慮なく押し流していく波から、この人を守っていたい。
一人の男性(ひと)として、守っていたい。
そう、強く思った。
「……」
間近にあるユウの顔を見て少し苦笑混じりにはみかめば、闇のような目はまたぱちりと瞬いた。
じぃっと、私を射抜くように見てくる。
それから少しだけ眉が下がって──…あ。
「……なんだそれ」
少しだけ、なんだか……泣きそうな、顔。
こんなユウの力のない笑みは、初めて見たかもしれない。
年相応というより、もっと幼く見えた。
心臓がひとつ跳ねる。
触れたことのない、ユウの心の奥底に触れた気がして。
「頼りねぇ守り目だな」
だけどそれは一瞬だけだった。
泣きそうだった面影はすぐに消え去る。
それでも、口元には優しい笑みが浮かんでいたけど。
「…自覚はあるから言わないで」
だから私もいつものように返した。
過剰に反応するよりも、いつも通りの私で触れていたいと思ったから。
言われなくても、わかってますから。
こんな鎖に繋がれて包帯塗れの恰好じゃ、説得力もなにもあったもんじゃないだろうし。
でも大真面目な本音です。
「でも、そうだな」
ユウの手が私の項に触れる。
くしゃりと髪に指が差し込まれて、そのまま引き寄せられた。
──あ、これ。
キスをする時、深いものに変わる時のユウの手の仕草。
「なら尚の事、傍にいてもらわないと困る」
「…ん」
優しい声で肯定してくれてる。
ユウの言葉に返した微かな相槌は、すぐにその唇に吸い込まれて消えた。
重なる唇。
優しい口付け。
相変わらず素っ気無い物言いだったけど、その行為だけで充分だった。
ユウが私の思いを受け入れてくれたことは、充分伝わったから。