My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「だから酒に逃げた。思考から追い出そうとしたんだよ」
面倒事は無視することも多いけど、私とは常に向き合ってくれていた。
そんなユウの思考に蓋をさせる程に、追い詰めてしまったんだと思うと…堪らなく胸が締め付けられた。
ああ…やっぱり。
私はそれだけユウを傷付けてしまったんだ。
「んなことじゃ何も解決しないことくらい、わかってたのに」
ぽつりぽつりと、ほんのりと明るい檻の中で落ちていくユウの本音。
さっきの私と一緒だ。
目線が下がって、私を視界から外して見ようとしていない。
「……馬鹿兎の言う通りだな」
最後に聞こえた言葉は凄く小さなものだったけど、辛うじて拾えた。
馬鹿兎って…ラビのこと?
…ラビと何か話したのかな。
気にはなったけど、それ以上に気にかかったのは今目の前にいるユウ自身。
それだけ思い悩ませて、傷付けて、なのに最後に手を差し伸べてくれたのはユウの方だった。
情けない幼稚な本音しか言えなかった私の涙を、全部拾ってくれた。
まだノアのことも、きちんと話していないのに。
「ユウ」
今度は、私が拾わなきゃ。
頼ってばかりなんて、支えてもらってばかりなんて、そんなの嫌だ。
「…ごめんなさい」
両手を伸ばして、ユウの頬を包む。
私にしてくれたように。
そうして顔を寄せて、闇のような黒い瞳と目線を重ねた。