My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「ん、ユ…っな、にっ?」
啄ばむような軽いキスを、何度も受ける。
ちゅ、と軽い音を立てて離れる柔らかいユウの唇。
だけどすぐにまた触れるから、簡単には話せない。
それでも意味がわからずどうにか問えば、ユウは一瞬だけ動きを止めた。
「キスの約束。させたのは雪だろ」
さらりと告げたのは約束って言葉──…あ。そうだ。
ハグと一緒に、沢山キスも欲しいって。そう、頼んだんだっけ。
「…ん、」
そう言われれば、抵抗する意味なんてなくて。
…というか、最初から抵抗する気はないんだけど。
素直に口付けを受け入れた。
啄ばむようだった可愛らしいキスが、変化を見せる。
ユウの薄い唇が、じゃれるように触れては時折、上唇や下唇をやわく食む。
味なんてしないはずなのに、なんだか甘さを感じるような口付けに、胸の内の鼓動が早くなる。
ドキドキする。
最後にパリ警察署の喫煙所で貰ったキスみたいに、深いものじゃないのに。
……でも、これ…なんかいつもと違──
「っ?」
鼻を掠めたのは、いつものユウからは感じないもの。
「っん…待って…っ」
「…んだよ、」
つい胸を押し返す。
深いキスはしていないのに、鼓動の所為か呼吸も少し早くなってる。
だけど問題はそこじゃない。
怪訝そうに見てくるユウを、少し困惑気味に見返す。
微かに、鼻を掠めた匂い。
それはいつものユウが纏っているはずのない匂いだった。
まるでユウに化けたルパンのキスを受けた時みたいに。
この匂いは──
「ユウ、お酒臭い」
「……」
煙草のような苦味じゃない。
どう感じたって、アルコールの匂いだ。