My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「傷、痛むか」
「…ちょっとだけ。婦長さんが手当てしてくれたから…そんなに痛くないよ」
「……」
「……」
「……」
「……ぃ…痛い、です」
「ったく。どこまでいっても我慢する癖は抜けねぇな」
「ぁたっ」
不意に包帯塗れの体を見渡しながら問いかけられ、応えた結果返されたのは無言の圧力。
それに負けて正直に言えば、即座に軽いデコピンを受けた。
「今は任務中でもなんでもねぇだろ。俺の前でやせ我慢するな」
「…ごめん」
はぁと溜息をつきながら、ユウの目が私から檻の中に移る。
何見てるんだろうって思う間もなく、すぐにその目は私に戻ってきた。
「薬も効かねぇのか」
…あ。
机の薬の袋、見たんだ。
「えと…それは…」
「? なんだよ」
またここで誤魔化すことはしちゃ駄目な気がして、言い淀みながらも決心してぐっと拳を握った。
素直に、ならないと。
私の体のこと、ちゃんと話すって決めたんだから。
「…吐いちゃうから…飲めなく、て」
「…具合、悪いのか」
気遣うように問いかけてくれるユウに、また首を横に振る。
「なんにも…ただ、食欲なくて…喉に通らないだけ。昔も、あったの…こういうこと。暫くしたら、そのうち通るようになると思うから」
「そのうちって、どれくらいだよ」
「え。っと…どれくらい、だろう。でも前はジェリーさんの料理食べてたら、そのうち自然に治ってたから──」
クロス元帥に連れられて、紹介された教団の料理長であるジェリーさん。
彼が作る料理はどれも美味しくて、そして優しい味がした。
最初は中々飲み込めなかったけど、そのうちに夢中でパクつくようになった。
それこそジジさんが言うハムスターみたいに。
だからきっと大丈夫、今回もそのうちに治る。
説明すれば、ユウは深くは突っ込んでこなかった。
恐る恐る伺った顔は、じっと考え込むように私の包帯だらけの体を見下ろしている。
…なんだろう。
何、考えてるんだろう。
ユウが私を敵として見放していないことは、わかった。
でも何を考えているのか、わからないことには少しだけ不安を感じる。