My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「──…ユウ…」
「なんだ?」
「…もう…大丈夫…涙、止まった、から」
どれくらい時間が過ぎたんだろう。
長いようにも短いようにも感じられた。
嗚咽が落ち着いて、目の奥の熱さが治まって、鼻を啜ることも少なくなった頃。頃合いを見て、恐る恐るユウに声をかけた。
…でも、この抱擁からは離れなくなかったから。私の涙で濡らしてしまったユウの服を掴む。
そのまま近くにある端整な顔を見上げれば、背中を擦る手が止まる。
拘束は緩んだものの、肌は離れることなく抱き締めたままでいてくれた。
僅かに顔を離して表情を伺ってきたユウが、じっと私の目元を見つめてくる。
「目、腫れたな」
「…うん」
…だと思った。
あんなに子供みたいに泣き腫らせば、目も鼻もみっともなく赤くなっちゃってるはず。
そう思うと少しだけ恥ずかしくなる。
…そういえば、全身包帯塗れの酷い姿だし。
とてもじゃないけど、お世辞にしたって綺麗とは言えない。
そんな自分の姿を改めて自覚すれば、ユウの腕の中は落ち着くけど別の意味でそわそわしてくる。
私の様子に勘付いたのか、元から気にしていたのか。ユウの手が不意に上がると、そうと私の涙で濡れた頬のガーゼに触れた。
「何があったんだ、これ」
「……」
…話さなきゃ。
私の体のこと、ちゃんと話すってユウと約束したから。
すぐには口を開けない私を、急かすことなく待ってくれている。
そんなユウの姿勢に意を決して、私も伝えることにした。
この檻に入れられてから、何があったのか。