My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「っぅう…じゃ…ユウ、責任取って…面倒見てよ…っ」
「当然」
すぐには止まりそうにない涙顔を、隠すことなく向ければ、迷う素振りもなくユウは即答してくれた。
「ほら、」
「っ…?」
緩く両腕を広げて、何かを催促するように呼びかけてくる。
意味がわからなくて涙で濡れた目で見返せば、来いというように、軽く手招きをしてきた。
「任務から戻ったら、してやるって約束しただろ」
…あ。
約束の、ハグ。
「ッ…うん…」
そっとユウの胸に両手で触れる。
そのままおずおずと身を寄せれば、背中に回った両腕が優しく抱きしめてくれた。
…あたたかい。
ユウの体温は少し低めなのに、不思議と温かく感じる腕の中。
大きな手があやすように、背中をゆっくりと擦る。
ただそれだけで大きな安心感を体が襲って、堪らず目の前の胸に顔を押し付けた。
涙でぐしゃぐしゃな顔だけど、ユウは何も言わずに受け入れてくれた。
少しだけ強まる腕の束縛。
包帯塗れの体は痛んだけど、気にしなかった。
温かい体温。広い胸板。
大きな腕に囲われる安心感。
包まれて感じる、ユウの息遣いや纏う匂い。
ああ。私が、ずっとずっと待ち望んでいたものだ。
目の前にユウがいる。
私の何より望んだ人が、今目の前にいるんだ。
「っ…ふ…ぇッ」
そう改めて実感すると、また涙がこみ上げた。
胸に顔を押し付けたまま、くぐもった声を漏らして泣く。
ただひとつ、抱き締めてもらえるだけでこんなに胸が熱くなるなんて。
今日の私は涙腺が壊れてしまったかもしれない。
「出せるだけ出せよ。全部俺が拾うから」
背中を擦る優しい手。
耳元で吹き込まれた温かい音色に、私はまた声を漏らして泣いた。