My important place【D.Gray-man】
第43章 羊の詩(うた).
「変な意地張んな! 自衛くらいしろ!」
「…っ」
「その意地守んなきゃ世界でも滅びんのか!? 違ぇだろ! 自分の立場を考えろ!!!」
「…わかってる、よ」
「わかってたらそんなふざけた有り様になるかよッ!」
怒涛に突き刺さるユウの主張に、身を竦ませる。
それは尤もだと言えるものだった。
ユウの言う通りだ。
それで世界が滅ぶ訳じゃない。
寧ろ沈黙を守り続けた方が、私の体はイノセンスに焼かれ続けて終わりがくるかもしれない。
それこそ他人が見れば呆れるような馬鹿な話。
「…ここが…私の、世界…だから」
でも。理屈が通らない思いも、あること。
私はユウに教えてもらったんだよ。
「私にも…守りたい世界が、あるから……それは、譲れない」
嫌ってたのに。
大嫌いだったはずなのに。
今ではこんなに私の胸を熱く苦しくさせる人。
そこまでの想いをこの人に抱えられたこと自体、奇跡みたいなものだから。
「その世界を壊されるくらいなら…こんな痛み、どうってこと、ない」
その奇跡を守りたいって。そう思ったっていいでしょ。
火傷の痛みはある。
イノセンスへの恐怖もある。
でもそれ以上の痛みと恐怖があることを、私は知ってる。
それをただ、感じたくなかっただけ。
それだけだ。
「……」
「…ッ」
沈黙ができる。
怒鳴り続けたユウの、少し荒い呼吸音だけが耳に届く。
そんなに感情を取り乱させることに罪悪感は湧いたのに、どこか嬉しさに似たものも感じて。
どこまでも自分勝手な自分の心に、自嘲したくなった。